2019 Fiscal Year Annual Research Report
The elucidation of the mechanism for the contribution of intracellular ATP concentration for the intestinal inflammation through the regulation of the immune systems
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18K15782
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
良原 丈夫 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20814601)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は炎症性腸疾患(IBD)モデルマウスにおいて細胞内ATP濃度が細胞・臓器の機能に与える影響について明らかにし、エネルギー産生異常の観点からIBDの病態の解明の端緒とすることを目的とした。ATP濃度可視化蛋白質であるGO-Ateamを全身に発現したマウス(GO-Ateam発現マウス)を用いて炎症性腸疾患モデルマウスの作成と解析を行った。まずGO-Ateam発現マウスに対するデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)投与によって腸炎がGO-Ateam非発現BL6マウスと同等に腸炎が発症することを確認した。次いでin vivoで蛍光実体顕微鏡を用いて消化管でのATPの挙動を観察したところ、DSS腸炎モデルマウスにおいてATP濃度の上昇を認めた。また全身他臓器におけるATPの挙動についても観察を行ったところ、脳内ATP濃度の上昇を認めた。 次いでin vivoで観察されたGO-Ateam/DSS腸炎マウスにおけるATP濃度の変化が酸素飽和培養液還流下のex vivoでも同様に観察できることを確認した。上記実験系を用いてDSS腸炎モデルマウスから得た脳スライスの観察を行い、DSS腸炎モデルマウスでは脳内ATP濃度が上昇していた。DSS腸炎モデルマウスの脳内ニューロンのミトコンドリア形態について電子顕微鏡で観察したところ、DSS腸炎モデルマウスではニューロンのミトコンドリア形態異常を認めた。この結果から腸炎に伴って中枢神経でのエネルギー代謝異常が生じている事が示唆された。中枢神経系でのミトコンドリア機能異常は様々な精神疾患メカニズムの一つとして着目されており、この結果は腸と脳の他臓器連関のメカニズムの解明における重要な糸口となる可能性がある。本研究結果は2020年日本消化器免疫学会において発表する予定である。
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