2018 Fiscal Year Research-status Report
マウス腫瘍同所移植モデルを用いた炎症性癌微小環境の研究
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18K15784
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林 亮平 広島大学, 病院(医), 病院助教 (80772053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 上皮間葉移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
bulb/cマウスの盲腸に同系マウス由来の大腸癌細胞株であるCT26細胞の同所移植を行い、DSS腸炎群とコントロール群の比較を行った。DSS群では大腸長の短縮と組織学的な炎症が確認され、目的である炎症による腫瘍微小環境による腫瘍の変化の評価を行うことができた。腫瘍重量、腫瘍体積および転移率は現段階では両群間で差は認められていないが、HE染色においてDSS群でのみ筋層への浸潤が認められた。Ki-67免疫染色にてDSS群において有意に陽性細胞が増加しており、腫瘍増殖能の亢進が認められた。 DSS群の腫瘍ではコントロール群では認められない、腫瘍細胞の紡錘形細胞への変化が認められた。間葉系マーカーであるα-SMAおよびフィブロネクチン陽性細胞の増生が免疫染色にて確認され、Western blotttingによりDSS腸炎群の腫瘍においてα-SMAとvimentinの発現量が多く確認され、腫瘍増殖能の増加に腫瘍細胞の上皮間葉移行(EMT)が関与している可能性が示唆された。CD31免疫染色による血管数を評価したところ、DSS群で有意に腫瘍内血管が増生している結果となった。 以上の結果から、現段階では炎症による腫瘍微小環境により血管増生能の亢進、および腫瘍細胞のEMTにより細胞増殖能と浸潤能が亢進している可能性を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス大腸腫瘍同所移植モデル作成については、bulb/cマウスへのCT26細胞株の移植は問題なく樹立できたが、B6マウスへの各種オルガノイドの同所移植は複数回試みたが成立しなかった。方針転換し、ヌードマウスへの移植も試みたがこちらも成立しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験系が確立できているbulb/cマウスへのCT26細胞株の移植モデルを中心に研究を継続していく。腫瘍重量、転移率はnを増やして再検討する。当初の予定通り、腫瘍微小環境内における免疫細胞のDSS群とコントロール群の差異を免疫染色やFACSで解析する。また、既に行っているマイクロアレイの結果を解析し、これまで明らかにしたEMT様変化や血管増生能の亢進に寄与するサイトカインネットワークなどのpathway解析や、今後行う予定の腫瘍内免疫細胞の差異を生じるpathwayの解析を行う。
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