2019 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変患者における膵うっ血からみた肝性糖尿病の機序解明
Project/Area Number |
18K15787
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
黒田 太良 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (10771876)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝性糖尿病 / 膵うっ血 / 膵硬度 / Shear wave elastography / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
門脈圧亢進を有する肝硬変(LC)患者ではしばしば糖尿病を合併する.糖尿病発症に膵は重要な臓器である.膵血流は門脈に排血しているため門脈圧亢進による膵血流障害が存在し,膵内分泌機能に影響している可能性がある.我々はLC患者とコントロール患者を対象にShear wave elastography(SWE)による膵硬度測定,造影超音波検査を用いた膵うっ血評価および内分泌機能評価を行い比較検討した.さらにLCモデルラットを用いた肝性糖尿病の病態解明を行った. ヒトにおける検討では,LC群はコントロール群に比してSWEによる膵硬度が有意に高く(LC群1.6m/s vs コントロール群1.1m/s,P<.0001),造影超音波による膵血流評価では膵からの排血時間が有意に遅延しており(5.6s vs 3.0s,P<.0001),グルカゴン負荷試験におけるΔCPRも有意に低下していた(2.0ng/ml vs 3.6ng/ml,P = 0.008).また,膵硬度とΔCPRとの間には有意な負の相関がみられた(R=0.58,P=0.0001). CCL4を用いて作製したLCモデルラットでは,コントロールラットに比して門脈圧が上昇しており,静脈内ブドウ糖負荷試験でインスリン分泌(15分値-投与前値)が有意に低下していた(5.0ng/ml vs 1.4ng/ml,P=0.0013).さらに膵の組織学的検討を行ったところ,LCモデルラットにおいてピモニダゾールの発現が増加しており,低酸素状態になっていることが示唆された. 以上のことより,門脈圧亢進を伴うLC患者では,膵のうっ血に伴う低酸素状態が一因となりインスリン分泌障害を来していることが示唆された.また,膵うっ血に伴う膵硬度の上昇とインスリン分泌能との間には相関がみられ,肝性糖尿病の評価としてSWEが有用な可能性があると考えられた.
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