2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の大腸癌発生・進展におけるグルカゴンの意義に関する基礎的・臨床的検討
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18K15791
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
八木 崇志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00781840)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グルカゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度のin vitroの実験でグルカゴンはグルカゴン受容体を介して細胞増殖作用を有することが確認されたため、本年はin vivoでの検証を計画した。 まず、shRNAを用いてグルカゴン受容体knockdown細胞株を樹立した。この細胞株のグルカゴン受容体の発現についてはW.B.法を用いてグルカゴン受容体の発現が減弱していることを確認した。また、グルカゴン刺激がない状態においてはコントロール、グルカゴン受容体knockdown細胞株で、細胞増殖活性に差は確認されないがグルカゴン受容体刺激でコントロールは有意な細胞増殖活性を示した。 グルカゴン刺激したグルカゴン受容体発現大腸癌細胞から蛋白を抽出し、グルカゴンの細胞内シグナル伝達系、主に受容体型チロシンキナーゼの主要なシグナル伝達系、AMPKシグナル伝達系への関与をWestern blot法により検討したところAMPKシグナルの減弱が確認され、この効果はグルカゴン受容体knockdown細胞株ではその効果が減弱していることが確認された。 さらに、グルカゴン受容体knockdown細胞株を用いた、マウス腫瘍移植実験を行った。 まず、高血糖、肥満を示すことで知られる、C57BL/6-DIOの随時血糖、グルカゴン濃度、体重を測定し、コントロールマウス、C57BL/6と比較した。高血糖肥満モデルマウスではコントロールマウスと比較し高体重、高血糖、高グルカゴン血症を示すことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた実験では、高血糖、肥満モデルマウスが、コントロールマウスと比較し高グルカゴン血症を示すことが確認された。 このマウスを用いて、すでに樹立したグルカゴンknockdown細胞株を用いて細胞移植実験を行う準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、高血糖、肥満モデルマウスへグルカゴン受容体knockdown細胞株を移植し、高グルカゴン血症が大腸がん細胞株の増殖へ及ぼす影響について実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していたマウス実験について、肥満高血糖マウスは高グルカゴン血症を示すことが確認された。今年度は腫瘍細胞移植実験を行っておらずそのためマウス購入費用などが少なく、次年度使用額が生じた。
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