2018 Fiscal Year Research-status Report
胃がんにおける発がんおよび免疫標的治療に対する腸内細菌の役割の解明
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18K15795
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須河 恭敬 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (80772566)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胃癌 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、胃癌における腸内細菌と免疫環境の関連について明らかにすることを目的に本研究を計画した。特に免疫チェックポイント阻害剤を使用する際に、腫瘍に対する免疫反応がバイオマーカーとして注目され、腫瘍免疫環境に関して多くの研究が進められているが、胃内の腸内細菌との関連についての検討はこれまでに報告されていない。そこで、胃癌に対してニボルマブを使用する患者を対象に、前向きに腸内細菌および血液・組織中の免疫マーカーを調べる研究を計画・開始した。本研究では、ピロリ菌感染の有無についてもあわせて調べており、胃癌における免疫環境への影響について検討する予定である。 2018年度は主に研究の準備に時間をかけており、2019年度にサンプルを使った解析を開始する予定としている。実際にニボルマブを投与する患者の検体を前向きに収集しており、免疫チェックポイント阻害剤の有効性の指標に関する検討が可能となっている。糞便中の腸内細菌の検討に加え、胃癌組織検体中のFusobacterium nucleatumをはじめとする細菌叢についても検討し、これまでに明らかにされていなかった胃内の細菌叢の薬物治療への影響についても解明したいと考えている。 ピロリ菌感染については、血中ピロリ菌抗体をニボルマブ治療開始前に測定しているが、驚くべきことに多くの患者で、除菌歴がないにも関わらずピロリ菌抗体は陰性であった。今後、ピロリ菌抗体の値と、腫瘍免疫環境、ニボルマブ治療効果との関連も検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より、初年度は検体収集に時間をかける予定であったため、予定通り前向きの試験を計画し、倫理承認を得ることができ、実際に症例集積をすすめることができた。一方で、サンプルに関しては全例で必要な検体を全て回収できているわけではなく、今後の課題となっている。次年度の解析にむけてさらに症例を集積したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、引き続き症例を集積することに加え、腸内細菌、免疫マーカーの解析もすすめる。 腸内細菌の解析については慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室との共同研究として順次解析をすすめ、血液・組織中のT細胞マーカーを含めた各種免疫マーカーの解析については慶應義塾大学大学院医学研究科 先端医科学 先端医科学研究所 細胞情報研究部門と協力し測定をすすめる。
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Causes of Carryover |
2019年度は、2018年度に集めた検体の解析を予定しており、2018年度よりも研究費が必要であるため次年度使用額が生じた。繰り越した資金については各種解析費用に使用予定である。
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