2018 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌の病態形成における抑制系免疫細胞とnon-coding RNAの関わり
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18K15802
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩田 朋晃 東北大学, 大学病院, 医員 (30803647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / SNHG5 / SNHG6 / SNHG8 / 腫瘍免疫 / MDSC / TAM |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌の再発や転移のリスクや予後を評価する上で、「癌細胞側の因子」 と「腫瘍免疫側の因子」を検討する必要がある。「癌細胞側の因子」としてnon-coding RNA (microRNA や long non-coding RNA)の重要性が示されてきており、一方で「腫瘍免疫側の因子」として、単球・マクロファージや骨髄球系細胞といった抑制系免疫細胞の重要性が示されてきている。しかしながら、「癌細胞側の因子」と「腫瘍免疫側の因子」との関連については不明な点が多い。本検討では肝細胞癌のnon-coding RNAに着目し、腫瘍免疫動態にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的としている。 https://portal.gdc.cancer.gov/のデータを用いて、ヒト肝細胞癌のnon-coding RNAの発現を調べた。long non-coding RNAであるSNHG6、SNHG8、SNHG5がヒト肝細胞癌において高発現していることを見出した。SNHG8のプライマーを作成し、代表的な肝細胞癌株(HepG2、Hep3B、Huh7S、Li7)での発現を確認した。 最近の研究ではSNHG8は肝細胞癌において、miR149-5pを介することでHCCの再発に関連する可能性があることが示された。本検討では今後、siRNAにより発現を抑制した肝細胞癌株を作成し、肝細胞癌株の増殖能や遊走能を検証すると同時に、末梢血リンパ球と共培養することで、SNHG5/6/8を抑制した肝細胞癌株がリンパ球に対してどのような影響を及ぼすかを検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
https://portal.gdc.cancer.gov/のデータを用いて、ヒト肝細胞癌のnon-coding RNAの発現を調べ、次にhttp://www.cbioportal.org/のデータベースを用いて、non-coding RNA発現の検証を行った。それによりヒト肝細胞癌において、long non-coding RNAであるSNHG5、6、8が高発現していることを見出した。これらのlong non-coding RNAについては、肝細胞癌での研究はほとんどされておらず、今後の研究が必要な分野であると考えられる。 続いて、SNHG5/6/8のプライマーを作成し、代表的な肝細胞癌株(HepG2、Hep3B、Huh7S、Li7)を用いてreal-time PCRを施行した。これら肝細胞癌株においてSNHG5/6/8の発現を確認した。また、SNHG8の発現は、高い順にHepG2、Li7、Huh7S、Hep3Bであった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肝細胞癌での発現と同様に、肝細胞癌株においても、前述のlong non-coding RNAであるSNHG5/6/8の高発現を確認できた。まず、肝細胞癌株においてsiRNAを用いて、ノックダウン株を作成し、ノックダウン株での増殖能や遊走能を検証し、non-coding RNAを調整することでの肝細胞癌株の性質に変化を生じるかどうかを検討する。ついで、調整株と末梢血リンパ球とを共培養し、リンパ球サブセットをフローサイトメトリーにて検証を行い、myeloid derived suppressor cellやtumor associated macrophageなどの抑制系免疫細胞の頻度が変化するかどうかを調べる。予備実験としての研究者のこれまでの研究では、long non-coding RNAであるHOTAIRを調整した肝細胞癌株において、単球・マクロファージを増加させるケモカインであるCCL2が増加していることを見出した。今後はSNHG5/6/8調整した肝細胞癌株においても、ケモカインの変化を検証することで、non-coding RNAと腫瘍免疫との関連を見出すことを目指している。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイを行わずにnon-coding RNAの検索を行うことができたため、予想よりも支出が少ない状態で研究を続けてたため、次年度使用額が生じたと考えている。 今後は、siRNAの購入や、フローサイトメトリー抗体の購入が控えており、次年度使用額をもちいる予定である。
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