2018 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌悪性性質獲得に寄与するBMP9分子機構の解明と新規治療法の開発
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18K15807
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
丹尾 幸樹 金沢大学, 医学系, 特任助教 (80807397)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BMP9 / 肝細胞癌 / バイオマーカー / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌(HCC)は、予後不良な悪性腫瘍であり、進行HCCに対する有効な治療法の開発が求められている。癌幹細胞(CSC)は、高い腫瘍形成能や転移能、抗がん剤抵抗性を有し、重要な治療標的と考えられているが、その維持や分化に関わる因子の同定やメカニズム解明が治療法開発に必要である。HCCにおいても、種々のCSCマーカーが同定されており、それらを用いた分類により、HCCサブタイプ毎の悪性形質や関連する分子が明らかになっててきている。BMP9は、TGFβスーパーファミリーに属し、肝幹細胞の維持・分化に関与する他、肝線維化やHCC増殖に関わる因子として近年注目されている。本研究においては、BMP9のHCCバイオマーカーとしての意義と、HCC悪性形質との関連を検討する。 2018年度は、BMP9の血清バイオマーカーとしての意義を検討するために、BMP9発現をELISAにて解析した結果、血清BMP9高値群では、低発現群に比して有意に予後不良であり、血清バイオマーカーとしての有用性を確認した。また、BMP9とHCC悪性形質との関連について検討するために、ヒトHCC培養細胞株に対し、ヒトBMP9リコンビナントタンパクを添加検討した。その結果、EpCAM陽性HCC細胞株において、BMP9シグナル分子ならびに幹細胞マーカーの発現が亢進し、癌浸潤能、遊走能の亢進が確認された。以上の結果から、BMP9は、HCC患者予後を規定する血清バイオマーカーとして有用であり、さらに、HCC幹細胞マーカーEpCAMの発現を亢進する事で、浸潤能などのがん悪性形質獲得に寄与する事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書で記載した2018年度の研究予定のうち、バイオマーカーとしての有用性やBMP9とHCC幹細胞性の関連を検討する内容は、ほぼ達成されており、また次年度の研究に繋がる重要な知見が得られており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に得られた結果から、BMP9は、EpCAM陽性HCCの幹細胞性へ影響することが明らかになった。2019年度は、特にBMP9がEpCAM陽性HCC幹細胞へどのように作用するかの分子生物学的な検討を行い、BMP9分子シグナルを標的とした高悪性度HCCに対する新規治療法開発に関して検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)