2018 Fiscal Year Research-status Report
血清エクソソーム中のmiRNAパネルを用いた食道扁平上皮癌の早期診断モデルの構築
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18K15817
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 人正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00814625)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | miRNAパネル / エクソソーム / 多重ロジスティック回帰分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 1: 血中ESCC早期診断miRNAパネルの同定 (1)ESCCと正常組織のmiRNA発現を比較した3つのRNA-Seqビックデータ(TCGA, GSE55856, GSE43732)を解析し、共通して4つの基準(①Adjusted P-value<0.05 ②log2FC>0.5 ③AUC value>0.7 ④Up-regulated miRNA)を全て満たす18種のmiRNA(18-miR)を同定した。さらに、ROC曲線を用い、18-miRパネルは癌をほぼ100%(AUC=0.98, 0.99, 0.98)の精度で診断できることを3つのデータベースで示した。(2)早期ESCCの血清エクソソーム(n=50)、健常者の血清エクソソーム(n=50)、同じESCC症例の癌組織(n=50)とペアの正常組織(n=50)を用い、miRNAを抽出後、18-miRパネルの各miRNA発現をTaqMan real-time PCR(qRT-PCR)法にて測定した。血清からのエクソソーム精製は超遠心分離機を用い超遠心分離法で行った。(3)早期ESCCに特異的なmiRNAパネルを同定するために、18-miR のうちESCC組織と血中でも共通して有意に高発現するmiRNAを血中ESCC早期診断miRNAパネルとした。 目的 2: 数理学的手法に基づいたESCC早期診断モデル式の構築 (1)共同研究施設から得たアジア人の独立コホート①: 血清(ESCC:60, 健常:60)を用い、最終miRNAパネルそれぞれのmiRNAの発現をqRT-PCR法にて測定した。(2)多重ロジスティック回帰分析による ESCC早期診断モデル式: Logit(p)=b0+b1X1+b2X2+b3X3+. . . +bkXk (Coefficients: b0, b1, b2, ... , bk)を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の施設では、設備、備品などについては十分に整備されており、さらに同じ敷地内に数多くの高い研究レベルの他の先端医療研究部門を擁しており、当研究を準備・実行する上で特に以下の点で非常に合理的で有利な環境にあった。 1.我々の施設は同じ施設内に、癌遺伝子研究や癌の網羅的ゲノム・エピゲノム解析に高度な技術を要する人類遺伝学分野講座があり、多くのバイオインフォマティシャンが在籍している。我々は以前より癌の網羅的エピゲノム異常解析に関して人類遺伝学分野講座と共同研究しており、本研究のバイオインフォマティクス解析や統計解析に関しても研究協力することができた。 2.我々は人類遺伝学分野講座との共同研究により、既存のデータベースをバイオインフォマティクス解析し、早期ESCC診断マーカーとしての候補miRNAを同定し、さらに、データベースを用いてその診断能を検証し、我々が同定した候補miRNAの信頼性、有用性を示すことが出来た。 3.同じ敷地内に徳島大学先端酵素研学研究所を擁しており、超遠心分離機や電子顕微鏡の共同利用が可能であった。我々はすでに予備実験として、超遠心分離機を用いて血中エクソソームの抽出実験を行い、その成功を電子顕微鏡下に確認した。 4.本実験で使用予定の豊富な血清検体や組織検体は共同研究施設からすでに収集され、当教室に保存されていたため、新たに検体を収集する必要がなく、実験を滞りなく進行することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
目的 3: 早期診断モデル式の他コホート(アジアコホート②、アフリカコホート)での検証 すでに共同研究施設から独立アジアコホート②、独立アフリカコホートの血清を得ている。 目的 3a: 独立アジアコホート②: 血清(ESCC:100, 健常:50)を用い、アジアコホート①を基に作成した早期診断モデル式を他の独立アジアコホート②でも検証する。 目的 3a: アフリカ人の独立コホート: 血清(ESCC:300, 健常:100)を用いて検証することにより、我々の早期診断モデル式のさらなる有用性と頑健性を示す。
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Causes of Carryover |
消耗品などの購入単価以下の端数が生じたため、少額の次年度使用額が生じたが、次年度の消耗品購入費用に充てる予定である。
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