2019 Fiscal Year Research-status Report
NASHに対する胆汁酸受容体TGR5の活性化と既存薬剤を応用した新規治療法の開発
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18K15824
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
賀屋 大介 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70812501)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | liver fibrosis / TGR5 / DPP4 / diabetes mellitus |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病自然発症ラットであるOLETFにおいて16週齢から8週間にわたりブタ血清投与群、ブタ血清を腹腔内投与しながら、TGR5アゴニスト単独、DPP4阻害薬単独、両薬剤併用の群で比較するとHOMA-RやQUICKIなどの耐糖能の指標は治療群で有意に改善しており、collagen1A1、などの線維化マーカーのmRNA発現の抑制傾向は確認できたが肝線維化については組織学的な効果は明らかな差は見いだせなかった。ブタ血清による線維化誘発効果が強すぎたためと考えられ、耐糖能異常がしっかりと発現する20週齢から4週間の実験を行うことで再評価したところ、組織学的にも治療群で有意に改善し、両薬剤併用でさらに効果が増強されることが 判明した。fibronectin、collagen1A1などの線維化マーカーの発現も抑えられていた。OLETFに自然に認められる肝脂肪化も治療群で有意に改善しており、TBARSアッセイで評価するとMDAについてはブタ血清投与群で有意に上昇しており、治療群ではそれが有意に改善しており、酸化ストレスは治療群で有意に改善していた。今回のモデルにおいて肝線維化、肝脂肪化、耐糖能の改善を認めており、メタボリックシンドロームを合併する肝線維化病態において、今回の薬剤治療法は効果的である可能性が示唆される。また回腸末端便の16SリボソームRNAを次世代シークエンサーで解析した結果、腸内細菌叢に対するTGR5アゴニスト、DPP4阻害薬投与の多様性への影響は認めず、門レベルではFirmicutes/Bacteroidetes比(F/B比)について比較するとOLETFでは非糖尿病ラットであるLETOラットと比較してF/B比が上昇しており、各薬剤治療群では耐糖能の改善と比例するようにF/B比が低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在1編の論文化できており、現在は国内学会での発表を行っている段階です。現在COVID-19の影響により国際学会への発表予定はありませんが状況を見て国際学会への登録も考慮しております。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、様々な学会での発表を控えており、その場で貴重な意見をいただきながら本研究の意義や今後のさらなる発展について考慮していきます。具体的には本研究において分子生物学的にどのようなメカニズムで肝線維化が抑制されているのかをさらに解析する予定です。
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Causes of Carryover |
動物実験の再実験や腸内細菌叢の解析、論文掲載などに費用が必要であったためと考えられます。翌年度は学会発表や必要な追試などに費やしていく予定です。
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