2021 Fiscal Year Research-status Report
NAFLD/NASHにおける小胞体ストレス及びオートファジー関連機序の解明
Project/Area Number |
18K15832
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
林 倫留 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (70717785)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 小胞体ストレス / オートファジー / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣の変化に伴い、国内にはNAFLD/NASHの人数は急増している。NASHの病態にはオートファジー機能異常及び小胞体ストレスが深く関連しており、異常蛋白蓄積がNASHの進展に関与している。小胞体ストレスは肝脂肪化との悪性サイクルを形成し、インスリン抵抗性をも増悪させ、さらなるNASH悪化を引き起こす事が報告されている。我々は、Mallory-Denk Body(MDB)がオートファジーの分解器質であるp62蛋白を含む凝集体であり、プロテアソームの阻害剤で再現できる事、オートファジーの亢進でMDBが減少する事を報告した(Harada M, Hepatology, 2008)。また、飽和脂肪酸が小胞体ストレスを惹起し、オートファゴソームとリソソームとの融合段階を阻害する事を報告した(Miyagawa K, Am J Pathol, 2016)。 我々はタプシガルジン、ツニカマイシン、ピュロマイシンを培養細胞であるヒト不死化肝細胞培養株(OUMS-29)及びヒト肝癌培養細胞株(Huh-7)に負荷し、小胞体ストレスが生じることを確認した。いずれも1μM以上の濃度、及び12時間以上の負荷でいずれの培養細胞でも確認した。また、mRFP-GFP-LC3やautophagic fluxによる検討では、タプシガルジンではオートファジーの後期段階の障害をみとめ、ツニカマイシン、ピュロマイシンではオートファジーの促進を認めた。また、小胞体ストレス誘導剤単独でのMDBの形成を認めなかった。 NAFLD/NASHには糖尿病が合併する事が多いが、糖単独での肝細胞へ与える影響は不明である。そのため、OUMS-29及びHuh-7に高濃度の糖を負荷し、濃度及び時間依存性に小胞体ストレス及び酸化ストレスが生じる事を認めた。また、高濃度の糖に小胞体ストレス誘導剤を併用したところ、小胞体ストレスの増悪を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種薬剤による生じる小胞体ストレスやオートファジーに関して検討を行っているものの、その原因となる薬剤の作用機序に関しては不明である。今後は、小胞体上のカルシウムチャネル等に注目して、更なる検討を行う必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養細胞に上記の各種小胞体ストレス誘導剤を負荷し、その作用機序を明らかにする。それぞれの薬剤の作用機序によるものが考えられるため、検討中である。また。酸化ストレスへの防御機構であるNrf2-Kaep1系に対する小胞体ストレス誘導剤の作用も検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究室の既存の物品、試薬、抗体の一部を使用して、研究を行ったため、未使用額が生じた。未使用額は次年度小胞体ストレス誘導剤とオートファジーの実験の試薬購入に使用する予定である。
|