2018 Fiscal Year Research-status Report
高安動脈炎とクローン病との合併を引き起こす病態の解明と治療応用を目指した研究
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18K15841
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田村 夏子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (70815597)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高安動脈炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
高安動脈炎は大動脈とその主要分岐動脈が炎症に侵される疾患である。一方、クローン病は腸管を炎症に侵される疾患であるが、いずれも臓器特異的な自己免疫疾患であり、しかも両疾患を合併する割合は約10%と決して少なくない。そこで、共通した遺伝的背景の存在が示唆される高安動脈炎とクローン病の合併例における病因や病状の進展機序を解明し、両疾患の新たな治療標的を探索することを目的としている。 すでに進行している研究としては、高安動脈炎患者を対象とした全ゲノム関連解析(GWAS)の結果見出された疾患関連遺伝子IL-12B遺伝子とMLX遺伝子に注目し、高安動脈炎の病態解明をせまる研究がある。MLX遺伝子のQ139R変異がその転写活性を亢進させ、転写産物TXNIPの発現を増加させることから、機能獲得型変異であり、転写産物TXNIPの発現量増加に伴ってNLRP3インフラマソームの活性が亢進することを見出し、2018年度に論文を発表した。(Tamura N et al. Circ Genom Precis Med. 2018;11:e002296. ) さらに、MLX遺伝子が多く存在する部位が褐色脂肪組織と腸管であることがわかっているため、変異型MLX遺伝子を持っている場合、血管周囲の褐色脂肪組織や腸管において、TXNIPを介してNLRP3インフラマソームが活性化し、血管炎強いては腸炎を起こしやすくなるのではないか、また、腸管に多く分布するMLX遺伝子が腸管の炎症に関わり、高安動脈炎とクローン病の合併症例の一因になるのではないかと考え、変異型MLX遺伝子のノックインマウスを作成している。このマウスで高安動脈炎やクローン病の合併疾患モデルマウスを作成することで疾患の病態解明にせまる研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異型遺伝子MLXのノックインマウス作成が順調に進んでいる。高安動脈炎の疾患モデルマウスについては方法を探索しながら継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
高安動脈炎の疾患モデルマウスを作成し、様々な条件において、動脈炎の程度や腸炎の程度を比較し、病態解明を目指したいと考えている。
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Causes of Carryover |
想定より効率良く費用を使用することができたためであり、次年度の消耗品、主に抗体などに使用する計画である。
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Research Products
(2 results)