2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of imbalance between PlGF and sFlt-1 in chronic kidney disease
Project/Area Number |
18K15857
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中田 康紀 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70812379)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 心腎連関 / 胎盤増殖因子 / 心血管疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病患者では,心筋梗塞や心不全など心血管疾患が予後を規定する合併症として非常に重要であり,心腎連関の分子メカニズムを詳細に検討することで,新規治療法の開発に取り組む必要がある.我々は近年,血管新生や動脈硬化進展作用を有する胎盤増殖因子(PlGF)とその内因性アンタゴニストである可溶性Flt-1(sFlt-1)に着目し,その発現のバランスが慢性腎臓病における心血管疾患の発症あるいは進展に重要であることを明らかにしてきた.今回,sFlt-1の発現低下を抑制する既存薬剤を見出すことを検討した.尿毒素を用いた細胞実験において,尿毒素がsFlt-1の発現低下を来たすことを確認した.そこで,尿毒素除去作用を有する経口吸着炭であるAST-120を候補薬剤とした.動脈硬化モデルマウスであるApoEノックアウトマウスを用いて,5/6腎摘を作成しsham群と比較した.5/6腎摘群では腎組織でのsFlt-1の発現が有意に低下しており,AST-120の投与でそのsFlt-1の発現低下の抑制が確認された.また,5/6腎摘群で増加していた胸腹部大動脈の動脈硬化プラーク面積はAST-120の投与でその範囲が有意に縮小した.AST-120の投与によりsFlt-1の発現低下が抑制され,抗動脈硬化作用を示す可能性が示唆された.結果は,Sci Rep. 2019;9(1):15571に発表した.また,血中PlGF濃度の臨床的意義についての検討において,慢性腎臓病患者が多く含まれる急性心不全患者では,血清PlGF値上昇が予後悪化に強く関連していた.結果は,Circ J. 2019;83(2):395‐400に発表した.
|
Research Products
(2 results)