2018 Fiscal Year Research-status Report
新規疾患変異・染色体異常同定ツールを用いたミトコンドリア心筋症の診断率向上
Project/Area Number |
18K15863
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡崎 敦子 (今井敦子) 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70761691)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア心筋症 / 疾患変異 / 染色体構造異常 / 遺伝統計解析 / 原因遺伝子同定 / エクソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
網羅的遺伝子解析を用いたミトコンドリア心筋症の診断率向上を目的として、申請者が新規開発した常染色体劣性疾患変異の同定ツール(Hamming Distance Ratio: HDR法)および同ツールを応用した染色体構造異常同定ツール(HDR-del法)を用いて計29症例のミトコンドリア心筋症例における核DNA・ミトコンドリアDNA上の疾患変異・染色体構造異常の同定および変異の病原性に対する各種証明実験に成功しさらにミトコンドリアDNA変異症例においては心筋における高変異率(ヘテロプラスミー率)を証明した。またこれまでに原因遺伝子を同定したミトコンドリア病137症例の中で、心筋症合併例は21%と高率であることおよび心筋症非合併例と比較して予後不良であること(10年推定全生存率:18% vs. 67%, p< 0.001)を明らかにし成果の論文発表(Imai-Okazaki A et al, Int J Cardiol 2019) 及び国内外での学術集会での発表を行った。 また常染色体優性疾患変異の絞り込みに関しては従来は大家系を用いた連鎖解析が唯一の遺伝統計学的アプローチであったが、疾患変異周囲のヘテロ接合度の上昇という現象に着目することにより常染色体優性疾患変異に対する新規遺伝統計手法であるheterozygosity mapping法を開発して実家系での検証に成功し、同アルゴリズムを搭載したソフトウェアを公開し論文発表を行った(Imai-Okazaki A et al, Hum Mutat 2019). さらに新規のミトコンドリア心筋症例に対する網羅的遺伝子解析を完了させ、候補変異に対して発現解析を含めた各種検証実験による病原性の証明を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度に予定していた解析予定のサンプルの網羅的遺伝子解析および変異の病原性の証明実験は順調に完了し、心筋およびその他の臓器を用いたミトコンドリアDNAのヘテロプラスミー率の測定方法も確立できた。またミトコンドリア心筋症の原因変異同定に際して課題となっていた常染色体優性疾患変異の絞り込みに対する新規遺伝統計手法の開発および実家系を用いた検証にも成功した。さらに新規のミトコンドリア心筋症例に対する網羅的遺伝子解析も完了しているために、次年度は同症例に対する候補変異に対する病原性の証明実験および今後追加になる新規症例に対する候補変異の同定および証明実験を効率よく進めることができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に解析済みの新規のミトコンドリア心筋症例に対する網羅的遺伝子解析結果を用いた候補変異に対する病原性の証明実験を行うとともに、今後追加になる新たなミトコンドリア心筋症例に対する網羅的遺伝子解析及び心筋を用いたミトコンドリアDNAのヘテロプラスミー率の測定および心筋でのヘテロプラスミー率と心筋症の重症度との相関を検討する。またミトコンドリアDNA変異症例において心筋以外の組織(血液等)を用いた早期診断の可能性についても検討を行う。開発済みのHDR法・HDR-del法および初年度に開発した常染色体優性疾患変異に対する絞り込み手法を活用した網羅的なミトコンドリア心筋症の遺伝子解析により、同疾患の診断率向上を目指す。さらに遺伝学的に診断のついたミトコンドリア心筋症例において遺伝子変異と予後との相関に対して検討を行う。
|
Causes of Carryover |
2018年度に解析予定のサンプルの一部の発注が臨床上のサンプル入手スケジュールの都合で2018年度終盤の発注となり、支払いが2019年度と繰越になったこと及び2018年度に研究成果を発表予定であった海外学会参加に必要な予算が研究遂行上2019年度の学会参加予定へと変更になったこと
|
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Heterozygosity mapping for human dominant trait variants2019
Author(s)
Imai‐Okazaki A,Li Y, Horpaopan S, Riazalhosseini Y, Garshasbi M, Mosse YP, Zhang D, Schrauwen I, Sharma A, Fann CS, Leal SM, Lathrop M, Ott J
-
Journal Title
Hum Mutat
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Cardiomyopathy in children with mitochondrial disease: Prognosis and genetic background.2019
Author(s)
Imai-Okazaki A, Kishita Y, Kohda M, Mizuno Y, Fushimi T, Matsunaga A, Yatsuka Y, Hirata T, Harashima H, Takeda A, Nakaya A, Sakata Y, Kogaki S, Ohtake A, Murayama K, Okazaki Y.
-
Journal Title
Int J Cardiol
Volume: 279
Pages: 115-121
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Presentation] Cardiomyopathy in children with mitochondrial disease: prognosis and genetic background2019
Author(s)
Atsuko Imai-Okazaki, Yoshihito Kishita, Masakazu Kohda, Yosuke Mizuno, Takuya Fushimi, Ayako Matsunaga, Yukiko Yatsuka, Tomoko Hirata, Hiroko Harashima, Atsuhito Takeda, Akihiro Nakaya, Yasushi Sakata, Shigetoyo Kogaki, Akira Ohtake, Kei Murayama, Yasushi Okazaki
Organizer
2019 ACMG Annual Clinical Genetics Meeting
-
-