2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of cardiac hypertrophy suppression by Mtus1 gene and its clinical application
Project/Area Number |
18K15873
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 慎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 室長 (20796560)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心肥大 / 心不全 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Mtus1バリアントの発現制御解析 我々の心肥大モデルマウス、心不全モデルマウスを用いた実験で、Mtus1のvariantであるMtus1Aは、ミトコンドリアに局在し、心肥大を抑制することがわかった。Mtus1の発現制御を解明するため、心肥大の転写因子であるc-Mycを仔ラット心筋細胞に強制発現させたところ、Mtus1Aの発現増加がみられた。しかし、ChIPアッセイではその結合を示すことはできず、GATA2、CTCF、MEF2についても検討したが、その結合は示せなかった。次に、仔ラット心筋細胞を用いて質量分析を行ったところ、Mtus1Aの結合タンパクとしてImportin 7を同定した。Mtus1AはImportin 7に結合し、リン酸化されたERKの核内に輸送する阻害することで、心肥大抑制に関与することがわかった。 2. ヒト心筋症サンプルを用いたMtus1蛋白の発現解析 仔ラット心筋細胞を用いてMtus1の細胞内局在を検討したところ、Mtus1Aはミトコンドリア、Mtus1Bは核膜、Mtus1Cは微小管と、局在が異なることがわかった。心肥大モデルマウスを用いた組織学的検討では、Mtus1は心筋細胞特異的に発現していることを明らかにした。また、ヒト心臓組織を用いた免疫染色では、肥大型心筋症においてMtus1の心筋発現が増加しており、Mtus1の発現は心肥大の程度と関与することがわかった。 3. Mtus1遺伝子の変異解析 重症心不全患者144例の遺伝子解析を行い、Mtus1遺伝子の変異を調べたが、アミノ酸変異を伴う遺伝子変異は同定できなかった。国内外のデータベースも含めたin silico解析では、Mtus1遺伝子のMissense 25例, Gross deletion mutation 1例を認めたが、心不全の病態と関連するものは同定できていない。
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