2018 Fiscal Year Research-status Report
冠攣縮性狭心症における新たな機序解明:細胞内シグナル伝達物質βアレスチンの役割
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18K15875
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
花田 賢二 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90632993)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 冠攣縮性狭心症 / βアレスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
まずはpreliminary studyとして、HEK293細胞を使用し、siRNAを用いてβアレスチン1またはβアレスチン2をノックダウンして、それをアセチルコリンで刺激した。細胞内カルシウム濃度の測定では、βアレスチン1のノックダウンでアセチルコリンに対する細胞内カルシウムの上昇がコントロールと比較して亢進していることを示した。一方、βアレスチン2のノックダウンは細胞内カルシウム濃度への影響はなかった。また、MAP kinaseのひとつであるERK1/2のリン酸化を測定し、アセチルコリン刺激によってERK1/2のリン酸化が亢進することを示した。βアレスチン2のノックダウンによってERK1/2のリン酸化が亢進するのに対して、βアレスチン1のノックダウンはERK1/2のリン酸化への効果は認めなかった。さらに、GFPが付加されたepidermal growth factor receptor(EGFR)のプラスミドをHEK293細胞にトランスフェクションし、その細胞内局在を蛍光顕微鏡を用いて視覚的に検討した。EGFの刺激のみならず、アセチルコリン刺激によっても、EGFRは活性化されて細胞膜から細胞内へ局在変化することを発見した。 次に、野生型のマウスから血管平滑筋細胞を単離培養することに成功した。siRNAを用いてβアレスチン1またはβアレスチン2をノックダウンされることを、ウエスタンブロット法で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
はじめの1年で、HEK293細胞を使用したPreliminary studyを行い、また血管平滑筋細胞を初代培養してβアレスチン1およびβアレスチン2がノックダウンされることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初代培養の血管平滑筋細胞からβアレスチン1およびβアレスチン2をノックダウンし、アセチルコリン刺激による細胞内カルシウム濃度にどのような影響を与えるのか、検証する。さらに、βアレスチンのノックダウンが細胞内カルシウム濃度に影響を与えるとしたら、どのような機序で細胞内カルシウム濃度に影響しているのか、その機序を明らかにする。同時に、βアレスチン1およびβアレスチン2ノックアウトマウスにアセチルコリンを投与して冠攣縮が誘発されるかどうか、また我々が作製した冠攣縮のモデルマウスであるPLCδ1活性亢進マウスとのダブルトランスジェニックマウスにおける冠攣縮への影響を検討する予定である。
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