2018 Fiscal Year Research-status Report
心筋リモデリングにおけるCCR4-NOT複合体の機能的意義の解明および応用研究
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18K15879
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 輝紀 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (30733422)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CCR4-NOT複合体 / 心不全 / 心臓リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス圧負荷心肥大モデル(TAC)において、心臓リモデリングの過程でのCCR4-NOT複合体の構成因子の発現変化を解析したところ、心機能が保持された代償期に発現が上昇するのに対し、心機能が低下する非代償期においては発現が低下していることが分かった。このことから、CCR4-NOT構成因子は圧負荷心肥大のリモデリングプロセスに関与することが示唆された。そこで、心不全病態におけるRNA制御機構の機能的意義は未解明であることから、RNase-Xと心不全病態の関連に着目して研究を行った。RNase-X遺伝子欠損(RNase-X KO)マウスは圧負荷手術2週間で心機能が低下し、心体重比も野生型マウスに比較して上昇していた。このことから、RNase-Xが心機能保持に寄与していることが示唆された。RNase-X遺伝子欠損マウスの心臓を用いて遺伝子発現解析を行ったところ、各種炎症性サイトカインの発現上昇が認められた。gene-Y遺伝子の上昇が認められたため、RNase-X; Factor Y double KOマウスを作製して、TAC手術を行ったところ、RNase-X KOマウスの心機能低下が改善していた。つまり、心不全病態において、RNase-XによるFactor-Yの遺伝子発現制御機構が心機能調節に重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究概要に記載した通り、CCR4-NOT複合体におけるRNase-Xが圧負荷心不全モデルにおける心臓リモデリングプロセスに寄与していることが分かり、それがgene-Yの遺伝子発現制御を介していることが示唆されている。RNase-X; gene-Y二重欠損マウスの交配を進め、その心機能解析を行う段階まで研究を進めてきた。RNase-Xの心臓リモデリングへの関与が明らかになりつつある一方で、RNase-Xがどのようにgene-Yを制御しているかの機序を解明する必要があり、当初の計画からはやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究概要に記載した通り、CCR4-NOT複合体が心臓リモデリングに関与していることから、そのメカニズムを解明することを主軸に研究を進める。まずは、in vivoのマウス実験の表現型を再検し、データの再現性を確認することでRNase-Xとgene-Yの心臓リモデリングへの関与を証明する。先行研究からCCR4-NOT複合体の主な機能の一つにpoly(A)鎖の分解を行う脱アデニル化機構(デアデニレース)によって、mRNAの発現制御を行っていることが知られている。その機構に着目して、RNase-Xがgene-Yの発現を調節していることを証明する。具体的には、RNA免疫沈降(RIP)やPATアッセイなどの実験を行う予定としている。
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Research Products
(9 results)