2018 Fiscal Year Research-status Report
ブルガダ症候群のSCN5Aドミナントネガティブ変異の機序に関する研究
Project/Area Number |
18K15887
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 浩一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70736983)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドミナントネガティブ効果 / 細胞膜イオンチャネル発現量不変 / 心臓ナトリウムチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、隣接するSCN5Aの二つの変異F355IとD356Nのチャネル機能解析を中心に計画を進めた。D356Nの新しいベクターを用いたプラスミド作成は終了し、機能解析を完了した。 結果1)事前に予測された通り、F355Iで確認されたドミナントネガティブ効果は、D356Nでは明らかではなかった。D356Nを単独で発現させた場合ナトリウム電流は測定不能なレベルであり、また野生型プラスミドとD356Nを半量ずつで発現させた場合は野生型プラスミド由来と考えて妥当な密度の電流のみが記録された。D356Nを共発現させたからといって野生型プラスミドの電流量が減少してしまうような現象は観察されなかった。 結果2)ビオチン法を用いた膜発現タンパク量の解析はSCN5A-F355Iプラスミドを用いて実施しており、膜発現のタンパク量に大きな違いはないことが確認された。F355I変異は機能喪失変異で、単独で発現させるとナトリウム電流は記録できず、野生型と同時に発現させた場合には野生型のナトリウムチャネルの電流量を低下させる効果を有する。このため、a)SCN5A-F355I単独、b)SCN5A野生型+F355I、c)SCN5A 野生型単独、の三種類のトランスフェクションパターンを培養細胞に試し、膜タンパクを抽出してウェスタンブロットで解析したが、いずれのパターンで発現させた場合も細胞膜に発現しているNav1.5チャネルの量自体は大差なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画遅延の理由であるが、まず、研究計画の内の細胞膜に発現しているNav1.5チャネルの糖鎖修飾の有無をバンドの発現パターンで確認する手技が、現在まだ完了できていない。これは、ウェスタンブロットで生じる2本のバンド(修飾前タンパクと修飾後タンパク)が近接しており、またあまり明瞭でないため、再現性を持って両者を分離・解析できていないためである。現在ウェスタンブロットの抗体を変更する、電気泳動のゲルの濃度を調整する、泳動電圧を調整し、泳動時間を長めに調整するなどして再現性を持ったバンドの分離を目指している最中である。 二つ目の理由として、昨年中に新たにF355IとD356Nの二変異に比較的近い位置に遺伝子変異を有する特発性心室細動の家系が見つかったことが挙げられる。この変異の機能解析も同時に行い同一の論文としてまとめる方向でプロジェクトが進んでおり、現在こちらの変異プラスミドの作成とパッチクランプ解析に時間を取られている状況である。特に変異プラスミドの作成に関しては、SCN5Aの場合しばしば市販の変異導入キットでうまく変異が導入できない事があり、本変異についてもそのせいで通常より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅延理由となっている糖鎖修飾の有無の評価については、現在よりやや濃度の高いゲルを用いて低電圧で長時間泳動を行うことで問題が解決可能であると考えており、近く完了できる見込みである。 同時並行に進めている新規に見つかった変異のプラスミド作成に関しては、通常のSCN5Aプラスミドの野生型を鋳型にして変異導入キットを用いて実験を行ってもうまく変異導入ができていないため、今後長いSCN5Aの配列を2箇所で切断して3つのパートに分けて、そのそれぞれをベクターにクローニングしたプラスミドをまず作成する予定である。この短縮プラスミドを鋳型にすることで高効率で変異導入が可能となるため、変異導入成功後目的の部位のみを制限酵素で切り出して完全な長さのSCN5Aプラスミドに組み込む予定である。 以上のようにボトルネックとなっているパートに関しては順次解決法を見つけて対応しており、引き続き本計画を強力に推し進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度に学会出張に伴う出費と一部の消耗品の更新が重なる可能性が高く、今年度の使用を差し控え次年度の予算に割り付けることとしたため。
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