2019 Fiscal Year Research-status Report
未固定遺体を用いた動脈硬化症の病態および進展機序の解明
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18K15891
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
川端 豊 徳島大学, 病院, 医員 (60645183)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 冠動脈微小管腔構造 / 冠動脈周囲脂肪 / 冠動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,未固定遺体を用いた冠動脈プラーク性状と冠動脈微小管腔構造および心臓周囲脂肪内炎症物質の解析により、冠動脈硬化症の病態および進展機序を解明することを目的としている。昨年度は,これまで行ってきた光干渉断層法 (OCT)で観察される左冠動脈前下行枝の冠動脈内微小管腔構造とそこに隣接する冠動脈周囲脂肪内炎症と冠動脈内プラークの関係に,CTで計測した冠動脈周囲脂肪の壁厚を加えた研究結果についてアメリカ心臓病学会において発表した.結果としては,微小管腔構造の多い部位は周囲脂肪内炎症が有意に多く発現しており,周囲脂肪の壁厚も有意に厚かった.一方で,内膜中膜複合体面積/血管面積比に関しては微小管腔構造の多寡で有意差はつかなかった. この結果から,動脈硬化進展の前段階から局所的に周囲脂肪は厚くなり,そこにおける脂肪内炎症が微小管腔構造の増加を惹起させる可能性が示唆された.また新たな試みとして,近赤外線と超音波を用いた血管内画像診断装置であるNear infrared spectroscopy intravascular ultrasound (NIRS-IVUS)を用いることで,冠動脈内プラークの脂質性プラークサイズを定量的に測定し,OCTで観察される微小管腔構造との関係についても調べて始めており,評価する血管についても右冠動脈を追加して研究を進めている.今年度は,これまでの研究結果について論文投稿することを目標としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで未固定遺体を10検体用いて,冠動脈プラーク性状と冠動脈微小管腔構造(MS: microluminal structure)および心臓周囲脂肪内炎症物質の関連について検討してきた. 昨年度は光干渉断層法(OCT: optical coherence tomography)で観察されたMSとそこに隣接する心臓周囲脂肪内炎症の発現および冠動脈プラーク占拠率およびCTで計測された観察部位の心臓周囲脂肪の壁厚の関連を調べたところ,MSが多く存在する部位には炎症性物質の発現が多く,心臓周囲脂肪も厚いという結果が得られた一方で,MSの多寡とプラーク占拠率との間には関連性を認めないという結果になった.この研究結果に関しては2019年のアメリカ心臓病学会で発表を行った. この結果から,冠動脈動脈硬化のより早期から心臓内周囲脂肪内炎症がMSの増加を惹起してくるのではないかと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
・昨年度の研究結果について論文作成を行う. ・昨年度までは光干渉断層法(OCT: optical coherence tomography)を用いた研究を進めてきたが,現在は血管内超音波装置(IVUS:intravascular ultra sound)やNear infrared spectroscopy intravascular ultrasound (NIRS-IVUS)を用いることで,冠動脈内プラークの脂質性プラークサイズを定量的に測定し,OCTで観察される微小管腔構造との関係についても調べて始めており,評価する血管についても右冠動脈を追加して研究を進めている.
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Causes of Carryover |
(理由)3月納品となり,支払いが完了していないため. (計画)4月に支払いが完了する予定である.
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Research Products
(2 results)