2018 Fiscal Year Research-status Report
心不全発症機転としての低酸素応答を介したミトコンドリア機能不全の分子機序解明
Project/Area Number |
18K15892
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 昌隆 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (10567382)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心不全 / ミトコンドリア機能 / ミトコンドリア生合成 / 低酸素応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、心不全におけるミトコンドリア機能不全の分子機序として低酸素応答の役割に着目し、①過剰な低酸素応答がミトコンドリア機能不全を介して心不全の発症機転となっていることを明らかにし、②明らかにした細胞内シグナルを標的とした治療介入を探索することで心不全の新たな治療法の確立を目指すことを目的とするものである。 研究計画の初年度である本年度は、様々な心不全モデルにおける不全心筋では低酸素応答が活性化していること、またミトコンドリアの生合成を始めとしたミトコンドリア機能が低下していることを確認した。さらに、ラット単離心筋細胞を用いて低酸素刺激に応答してミトコンドリアの生合成および呼吸機能が低下すること、低酸素応答を担ういくつかの遺伝子をノックダウンすることによりミトコンドリアの生合成および呼吸機能の低下を防ぐことが可能であることを明らかにし、当初の仮説を立証しつつある。 さらに心不全だけでなく、同時に様々な心血管病の病態進展における低酸素応答の過応答の役割についても検討している。特に心筋梗塞時の致死的な合併症である梗塞後心破裂において過剰な低酸素応答が原因となっていることを明らかにしており、現在研究成果について論文投稿準備中である。 現在は明らかにした分子機序を標的とした治療法を確立すべく、同定した複数の過剰な低酸素応答に対する阻害剤探索のための薬剤スクリーニング系の確立を行っている。同分子に対する阻害剤として既にいくつかの小分子化合物が報告されているが、実際にはこれら既知の阻害剤ではその阻害が不十分であることを確認しており、新たな阻害剤の探索を薬剤スクリーニングにより新たな化合物を同定すること進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた実験が当初想定した仮説通りの結果が得られたこともあり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、実際に心不全モデル動物において着目した遺伝子のミトコンドリア機能調節における役割を明らかにする。さらに現在取り組んでいるスクリーニング系を確立し、低酸素応答を標的とし、ミトコンドリア機能を改善させる小分子化合物の同定を行う。探索的な研究内容であり、準備した薬剤スクリーニングセットでは同定できない可能性も高い。その場合に備え、別の薬剤スクリーニングセットを有する研究者との共同研究についても検討していく予定である。
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Research Products
(6 results)