2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K15895
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
永野 伸卓 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70769637)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リバースリモデリング / MIBGシンチグラフィー / 心臓MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
非虚血性拡張型心筋症は左室内腔の拡大と左室収縮力低下を特徴とする特発性・遺伝性心筋症であり、適切な薬物療法や心室再同期療法は一定の成果を挙げたが、適切な治療開始後1~2年で左室逆リモデリング(left ventricular reverse remodeling: LVRR)が得られない症例は極めて予後不良であり、心臓移植を行うしかないのが現状である。臓器移植法の改定後も心移植待機患者数は徐々に増加しており、待機期間もこれらを踏まえて、本研究ではLVRRの予測因子の検討を行い、治療介入を強化すべき症例を検出するとともに、抵抗性症例に対する包括的介入を早期に図ることで、医師・患者ともに薬物療法に対して積極的に取り組むことができ、良好な予後へと繋がる可能性があり 昨年度は(1)症例登録、(2)症例への適切な薬物療法、(3)治療後の評価、を行なった。 (1)症例登録:当院の心不全入院患者を対象に症例登録を行い、心臓超音波検査, 心臓MRI, MIBGシンチグラフィー, 心筋生検 、血液検査などのデータを抽出した。3月31日時点で86例を登録した。 (2)日本循環器学会の心不全治療ガイドラインに準拠し、外来にて適切な薬物療法を継続した。 (3)リバースリモデリングの有無の評価として半年から1年後に心臓超音波検査で心機能評価を行なった。心血管イベントとして死亡及び心不全・不整脈による再入院を選択し、イベント発生の有無を追跡している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録数は徐々に増加している点は順調に経過しているが、評価項目であるリバースリモデリングの有無の確認は半年~1年後の心臓超音波検査が必要であり、3月31日の時点では26例にとどまっている。その中でリバースリモデリングを得られている症例は6例であり、統計学的に検定するには症例数が不足しており、今後も症例の登録・フォローアップが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も症例登録を行いつつ、フォローアップの心臓超音波検査も行っていき、データベースを構築していく。 徐々に症例数は増えていくことが見込めるため、データベースを元に解析も行ない、リバースリモデリング達成の規定因子を検討するとともに、心血管イベント(死亡及び心不全・不整脈による再入院)回避率は、Kaplan-Meier曲線、Log-rank検定によって検討する。さらに、LVEF及びiLVDdの1年間の変化量を目的変数に置き、重回帰分析を用いて1年後のLVRRを予測する。 また心筋生検のサンプルから、心筋細胞におけるmTORC1活性化レベルを定量評価する。心筋mTORC1活性レベルを全体の中央値で高値群と低値群に分類し、mTORC1活性レベルとLVRR、心筋交感神経機能、心筋間質の変化及び心筋細胞変性、との関連を解析する。
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Causes of Carryover |
昨年度はデータベースの作成のため、個別のコンビュータを購入し作成にあたった。研究成果の発表ならびに最新の知見を得るための学会参加費として予算を立てていたが、報告の通り昨年度は登録症例数が少なく、新たな知見が得られるほどのデータの解析は行えず、学会発表に至ることができなかったこともあり使用額が減ることとなった。 今年度はデータ解析のためのソフトの更新など解析のためにも費用を使用し、解析結果の発表のため学会参加のための旅費も使用していく予定。
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