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2018 Fiscal Year Research-status Report

急性心筋梗塞患者における腸内細菌叢とその代謝産物TMAOの役割の解明

Research Project

Project/Area Number 18K15896
Research InstitutionYokohama City University

Principal Investigator

松澤 泰志  横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (90600635)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsmyocardial infarction / microbiome / follow up study / secondary prevention / residual risk
Outline of Annual Research Achievements

急性心筋梗塞患者を対象に糞便の16S ribosome RNA遺伝子解析は現在外部委託検査中である。腸内細菌の代謝産物であるTrimethylamine-N-oxide(TMAO)は、アテローム性動脈硬化や心血管イベントとの関連が報告されている。ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)後の患者におけるガイドラインに基づく最適な二次予防によるTMAOの経時的な変化はこれまで報告されていない。さらに、アテローム性動脈硬化の進行と、その後の心血管イベント発症に対する二次予防前後のTMAOが及ぼす臨床的影響についても明らかではない。本年度までとしては血漿TMAOの結果に関してまとめた。STEMI 患者を対象とし急性期の血漿TMAO値と二次予防療法後の慢性期の血漿TMAO値を測定し、腸内細菌由来のTMAOによる冠動脈プラークの進行と心血管イベントのリスクへの関与について明らかにすることを目的とした。発症12時間以内のSTEMI患者112例で、入院時を急性期とし血漿TMAO値を測定した。ガイドラインに基づく二次予防療法を行い、血漿TMAO値と冠動脈造影を発症10ヶ月後に慢性期とし再評価した。冠動脈病変の重症度としてSYNTAXスコアを用いて評価し、10か月後の冠動脈造影後の総死亡、心筋梗塞を含む急性冠症候群、脳梗塞を心血管イベントとして追跡調査した。
糞便の16S ribosome RNA遺伝子解析による腸内細菌の網羅的解析は96検体まとめて外部委託したところで一部の結果が帰ってきているが、全ての結果は2019年5月末に帰ってくる予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

STEMI発症後に最適な二次予防療法を行ったが、血漿TMAO値は若干ではあるが有意に上昇した(中央値; 5.63μMから6.76μM、P= 0.048)。慢性期TMAO高値は、冠動脈病変の進行と慢性期SYNTAXスコア高値と関連していた。5.8年(中央値)の追跡期間に、17例が心血管イベントを発症した。STEMI後の患者における慢性期TMAO高値群では有意に予後不良であり(図1)、心血管イベント発症の独立した予測因子であった(HR for 0.1 increase in log chronic-phase TMAO: 1.26, 95% CI 1.06-1.52, P = 0.011)、しかし急性期TMAO値は予測因子とはならなかった。考察:今回の結果では慢性期TAMO値が心血管イベント再発に関与し、TMAO値は急性期から慢性期にかけて有意に上昇していた。ガイドラインに基づく二次予防療法により高血圧・脂質異常症・糖尿病などの古典的リスクファクターは軽減したと考えられ、TMAO値上昇によるリスクが相対的に上昇し心血管イベント再発に寄与していると考えらえれた。STEMIにおける現在のガイドラインに基づく二次予防療法は、血漿TMAO値低下に有効ではなかった。二次予防療法後の慢性期TMAO値は、慢性期の冠動脈病変の重症度と進行に関連し、STEMI後の患者の心血管イベントの独立した予測因子であった。
糞便の16S ribosome RNA遺伝子解析による腸内細菌の網羅的解析は96検体まとめて外部委託する。当初の予定よりは患者エントリーがやや遅れているが、3月に96検体揃ったため検体を検査に提出した。結果の解析にも時間がかかるためまだ結果の一部のみ帰ってきたのみである。5月末頃には全ての結果が戻ってくるため、データの解析を初めていくところである。

Strategy for Future Research Activity

TMAOに関しては研究実績の概要で記載した通り、ある程度の結果は出ている。引き続き症例を増やしているため今後さらなる検討を行っていく予定である。急性心筋梗塞患者の入院後初回の糞便で次世代型シ-ケンス技術を用いて行った腸内細菌叢メタゲノム解析の結果、急性期、慢性期の血漿TMAO値の結果を以下の項目と検討していく予定である。心筋梗塞患者の血管内皮機能、血小板凝集能、冠動脈プラークの量と質、ステント血栓症・再狭窄、動脈硬化進展、左室リモデリング、予後。これらの事項を検討し、腸内細菌叢の役割を明らかにできれば、新たな治療ターゲットとなる可能性があると考えている。

Causes of Carryover

患者エントリーが遅れ、外部委託検査への提出が遅れたため。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Microbiota-derived Trimethylamine N-oxide (TMAO) as Residual Risk after ST-elevation Myocardial Infarction2019

    • Author(s)
      松澤泰志
    • Organizer
      第83回日本循環器学会学術集会
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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