2018 Fiscal Year Research-status Report
アダプター分子ASCを介した血栓形成における新たな制御機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
18K15900
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
渡邊 幸子 自治医科大学, 医学部, 助教 (80770619)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血小板 / 血栓症 / インフラマソーム / ASC |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らのグループは、これまで心血管疾患の病態に共通する無菌性炎症を制御している細胞内分子複合体 NLRP3インフラマソームの重要性を明らかにしてきた。そして最近、血小板にはインフラマソーム構成分子の一つであるアダプター分子ASC のみが存在し、このASCがインフラマソームとは独立して血栓形成に寄与していることを見出し、血小板のASCに結合する候補分子を探索・同定を行ったところ、候補分子を5つ同定した。そこで、これら候補分子の細胞内での局在や挙動、ASCとの結合・解離について解析を進めた。Flagタグを融合したASCおよびMycタグを融合した候補分子をHeLa細胞へ強制発現させ、それぞれを蛍光標識し共焦点顕微鏡下での観察を行ったところ、ASCと候補分子は細胞内で部分的に共局在しており、相互作用することが示唆された。また、免疫沈降法によりASCと候補分子との結合部位の同定を試みたが、HeLa細胞およびHEK293細胞では結果が得られず、結合部位の同定には至らなかった。しかし、マウスの血小板においては免疫沈降法でもASCと候補分子との結合が確認でき、さらに、コラーゲンやトロンビン刺激によってASCスペック様の凝集塊や多量体形成が認められた。また、ASC KOマウスの血小板ではこれら刺激による細胞内カルシウム濃度が野生型マウスと比較して優位に上昇していた。これらの結果から、血小板においてはASCと候補分子が相互作用し、刺激による活性化の制御に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ASCと候補分子との結合部位の同定を試みたが、培養細胞ではその同定に至らなかった。しかし、マウスの血小板においてはASCの活性化や候補分子との結合が認められたことから、ASCは血小板の活性化制御に関与していると考えている。現在、野生型マウスとASC KOマウスの血小板を用いて細胞内シグナルの解析や細胞内カルシウム濃度の評価を行っており、有意な差を得ている。以上の結果から、本研究はおおむね順調に進行しており、今後は血小板を用いたシグナル解析やヒト巨核球細胞株であるCMK-11 5やMeg-01を使用した解析を進めていくとともに、病態モデルを用いたin vivoでの解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、レンチウイルスベクターによるASCおよび候補分子の強制発現・発現抑制(CRISPR/Cas9 システムを利用)系を構築し、活性化刺激を加えた際の血小板凝集能・細胞内シグナル・細胞内カルシウム濃度について評価する。これらの解析にはヒト巨核球細胞株(CMK11-5・Meg-01)を使用する。また、深部静脈血栓モデル(右腎静脈直下での下大静脈結紮)および脳梗塞モデル(光化学反応による中大脳動脈の血栓形成)を作製し、生体での新規候補分子の発現や局在、ASCとの結合を検討するとともに、候補分子の阻害薬等を用いて血栓形成への影響を検証する。
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