2020 Fiscal Year Annual Research Report
Gut Microbial Leakage and Production of Trimethylamine N-oxide in Congestive Heart Failure
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18K15911
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Research Institution | Kobe City Medical Center General Hospital(First Clinical Division, Second Clinical Division, Third |
Principal Investigator |
北井 豪 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 医長 (10470204)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全の病態整理に関する認識は、心臓ポンプ失調に伴う血行動態の悪化が主病態という概念から、他臓器・他システムに様々な影響を与える内分泌臓器としての心臓の機能異常という概念に変わってきている。中でも、腸内細菌と心血管疾患の関連が注目を集めている。腸内細菌の分解産物であるTMAは、肝臓で酸化されてTMAOとなり血中に放出される。このTMAOの血中濃度は、冠動脈疾患患者、心不全患者、下肢閉塞性動脈硬化症患者の予後と相関することが欧米より報告されている。しかし、欧米とは食生活が異なる日本人心不全患者でのデータは乏しい。本試験では、急性非代償性心不全で入院加療を要した連続症例のうち、患者で組み入れ基準を満たし試験への参加同意が得られた470例で入院時のTMAOを測定し、院内予後、退院後の予後との相関を調べた。患者の平均年齢は76.8±11.5歳、男性278例(59.1%)であった。入院時のTMAO値は、0.818 μg/mL[0.355-2.023]であった。患者をTMAOの中央値で2群に分け、比較検討した。年齢、性別、Creatinine, BNP値に有意差を認めなかった。観察期間の中央値は514日[77-1050]で、観察期間中に153件(32.6%)の死亡と275件(58.5%)の再入院が観察され、主要アウトカムの死亡または再入院の複合エンドポイントは331件(70.4%)で観察された。血中TMAO濃度は心エコーで推定された右房圧と良好な相関は見られず、左房圧上昇の推定値としてのE/e’との相関も見られなかった。また、多変量解析で、入院時の血中TMAO濃度は死亡または再入院の複合エンドポイントにおける有意な予後規定因子とはならなかった。
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