2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患患者の細胞老化、身体活動性における抗老化因子の役割の検討
Project/Area Number |
18K15916
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 克洋 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80814855)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | COPD / GDF11 / 身体活動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)患者における血漿中のgrowth differentiation factor 11(GDF11)の産生量ならびに肺組織におけるGDF11の産生量や産生様式の検討に関しては、先行研究と別のコホートにおいて健常者とCOPD患者における血漿中GDF11産生の程度をwestern blot法を用いて測定し検証した結果、COPD患者の血漿中GDF11産生量は健常者と比較して有意に低下していることを確認した。 2)COPD患者の身体活動性や運動耐容能、四肢筋力とGDF11の関連の検討に関しては、COPD患者において、血漿中GDF11産生の程度と閉塞性換気障害、肺過膨張、肺拡散能の程度との間に有意な負の相関関係を認め、また、血漿中GDF11産生量は、3軸加速度計で評価した身体活動性、下肢筋力(膝伸展筋力)、6分間歩行試験で評価した運動耐容能との間に有意な正の相関関係を認めることを明らかにした。さらに重回帰分析を行って、身体活動性は、呼吸機能などの他の交絡因子の影響を除いても血漿中GDF11産生量に有意に関与することを明らかにし、上記内容を英文誌に報告した(Tanaka R, et al. Int J COPD 2018)。 3)炎症や細胞老化の観点によるCOPD患者のサブタイプ解析については、既に70名の患者において測定行い、現在症例数の追加を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COPD患者における血漿中のGDF11の産生量に関しては、検証コホートにおいて健常者と比較して有意にCOPD患者の血漿中GDF11産生量は低下していることを確認できた。 COPD患者の身体活動性や運動耐容能、四肢筋力とGDF11の関連に関しては、COPD患者において、血漿中GDF11産生量は、身体活動性、下肢筋力、運動耐容能と有意な正の相関関係を認めることを明らかにした。さらに、重回帰分析により身体活動性は呼吸機能などの他の交絡因子の影響を除いても血漿中GDF11産生量に関与することを明らかにし英文誌に報告した。 バイオマーカーに基づいたCOPD患者のサブタイプ分類に関しては、老化の指標として血漿GDF11、炎症の指標として血漿IL-6、酸化ストレスの指標として血漿malondialdehyde(MDA)をCOPD患者70名で測定を既に実施している。 4年間で為すべき研修内容を概ね計画通り進んでいることから研究全体としては概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
COPD患者における血漿中のGDF11の産生量関しては、血漿中GDF11濃度と心血管疾患や高血圧、糖尿病、骨粗鬆症といったCOPD全身併存症との関連について現在解析をすすめている。また、GDF11の身体活動性に対する役割をさらに明確にするために、COPD患者コホートを用いてGDF11の変化と身体活動性変化の関係についての前方視的研究を開始している。また、バイオマーカーに基づいたCOPD患者のサブタイプ解析を推進していくために、新規症例をさらに追加し、バイオマーカーの測定を実施して今後解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は消耗品と試薬について合理的に使用したため次年度への使用額が生じた。次年度は症例数の追加と血漿中のGDF11、IL-6、MDAの測定を行う予定である。
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