2019 Fiscal Year Research-status Report
肺非結核性抗酸菌症におけるコレステロール合成活性化機構の解明とその治療への応用
Project/Area Number |
18K15917
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松山 政史 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (30816111)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | RNA-seq / 遺伝子発現網羅解析 / TLRシグナリング |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、これまで遺伝子改変マウスを使用し肺NTM感染マウスモデルを作成、肺NTM症における宿主因子が及ぼす影響の研究を行ってきた。また、申請者が留学中に行った研究では、3D培養したNTM感染ヒト気道上皮に対し網羅的遺伝子発現解析を実施、気道上皮において線毛機能、炎症・免疫反応経路(IL-32、Toll-like receptor (TLR)シグナリング)などがNTM感染時に重要な役割を果たしていること、さらにコレステロール合成経路がNTM感染ヒト気道上皮で活性化されていることを世界で初めて見出した。 コレステロール合成経路の活性化と感染症との関係については十分な報告がない一方で、コレステロールは結核菌が細胞内にとりこまれ生存するために重要な役割を果たすことが報告されており、NTMまたは抗酸菌感染時の特異的な反応とも考えられる。また、TLRシグナリング経路の活性化を介して、コレステロール合成経路が活性化されることが報告されているが、NTM感染におけるコレステロールの役割は十分に解明されていない。 こうした背景を踏まえ現在は、野生型マウスに経気道的にM.aviumを感染させ、M. avium感染がTLRシグナル、コレステロール合成経路に及ぼす影響を検証してみた。現在までに、野生型マウスに経気道的にM.aviumを感染させた感染肺組織において、遺伝子発現の網羅解析を実施した。その結果、肺MAC感染モデルにおける重要な遺伝子群、遺伝子経路を明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスにM.aviumを経気道的に投与する肺NTM感染マウスモデルを用いた、各種実験に成功している。野生型マウスにM.aviumを単回感染の後、2週間、1か月、2か月、4か月、および8カ月後にサンプリングを行い感染と炎症の有無などをBAL解析、肺内菌量測定、病理組織学的解析を行うことで検証した。M.avium投与後から、2週間、1か月後と肺内菌量が低下してゆき、感染2か月後と感染4か月後では菌量の変化を認めなかった。従って、慢性感染症としてのタイミングは感染2か月後が妥当であると判断した。そこで、野生型マウスにM.aviumを感染させ、2か月後の肺組織を用いてRNA-seqを施行した。 この遺伝子発現の網羅解析結果から、TLRシグナルの活性に加えて、Th1、Th17免疫、PD-1経路、Nrf2経路の重要性が明らかになった。この遺伝子発現の網羅解析結果を踏まえた結果をATS2019、呼吸器学会で報告した。さらに、論文投稿を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
我々が確立した、肺MAC感染のマウスモデルを用いて、引き続き研究を進めて行く。 M.avium感染2か月後の野生型マウスの肺組織を用いた、RNA-seqの解析結果で、TLRシグナルの活性に加えて、Th1、Th17免疫、PD-1経路、Nrf2経路の重要性が明らかになった。これらの経路とコレステロール合成との関わりについて検証していく予定である。
|
Research Products
(5 results)