2019 Fiscal Year Research-status Report
好塩基球の肺胞マクロファージ活性化による肺線維化の新しい機序について
Project/Area Number |
18K15919
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
立石 知也 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (40645636)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 好塩基球 / 肺線維症 / マクロファージ / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は末梢血中の0.5%を占める好塩基球が肺の炎症に与える影響を調査するものである。研究者が所属するグループの研究では好塩基球がCOPDに与える影響を示した。本研究では間質性肺炎に着目している。間質性肺炎の急性増悪や肺の急性炎症期の組織に好塩基球が出現することが示されているが、その機序は不明である。本研究ではマウスモデルを用いて好塩基球の関与について解析している。 昨年度までで、ブレオマイシンモデルにおいて好塩基球除去により炎症ならびに線維化の悪化がみられることを確認した。 本年度は引き続き、好塩基球により抑制されている炎症にスポットをあてるため、より炎症を強く惹起するLPS投与モデルを併用して実験を行った。LPS投与2日後の肺において同様に肺胞マクロファージの活性化が観察され、好塩基球除去によりそれがさらに強化された。 好塩基球除去によりタンパクの発現変化を解析したところMCP-1(CCL2)などの上昇を認めた。これらのケモカインはマクロファージ、好中球の遊走に関わっている。また一方でMIP-1a(CCL3)などのマクロファージが産生するケモカインは減少していた。 本年度の結果から、以前は比較的長寿命であると考えられていたが、比較的短期間に再生され、性質を変えているものと考えられた。今後逆にマクロファージの活性化を抑える因子が判明すれば間質性肺炎の急性増悪や、急性肺障害の予後改善につながることが考えられ、次年度以降はその探索を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度まではマウスの繁殖が順調でなかったため、タンパクの発現解析ができなかったが、本年度は順調にマウスが手に入ったため実験が比較的順調にすすめられた。次年度は大学院生の協力を得てより順調な進捗が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
好塩基球に含まれる炎症を抑制する物質を探索したいと考えている。好塩基球はIL-4, Mcpt8などを産生するため、これらの物質をマクロファージに添加することで遺伝子発現の変化をみたい。
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Causes of Carryover |
次年度は好塩基球が産生する炎症抑制物質を探索するため、引き続き遺伝子改変マウスの繁殖に努め、数を揃えて研究を行いたい。
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