2018 Fiscal Year Research-status Report
胚盤胞補完法と多能性幹細胞を用いたマウス生体内における肺臓器再生技術の研究開発
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18K15921
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
周 ケイリョウ 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10770232)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺再生 / 胚盤胞補完法 / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、胚盤胞補完法を用いて多能性幹細胞に由来する肺臓器をマウス生体内で作成することである。肺や四肢が欠損となるFgf10ノックアウトマウスは出生後に生存できないため、CRISPRA/Cas9システムにてExon1とExon3ヘテロマウスをそれぞれ作成し、系統維持した。得られたヘテロマウス同士を交配し、25%の確率で複合ヘテロ胚を得た。407個のFgf10 Ex1-/+ × Fgf10 Ex3-/+ 胚においてGFP陽性ES細胞(Fgf10 wild)をマイクロインジェクションし、うちの360個の胚盤胞胚を偽妊娠マウス子宮に着床させ、91匹(22.4%)の産仔が得られた。52匹(57.1%)の産仔が出生時にGFP陽性(キメラ)で、うち11匹が離乳まで生存できた。すべてのGFP陽性キメラマウスにおいては四肢形成と肺組織形成が認められ、Fgf10ノックアウトマウスにおいてES細胞の補完作用による肺臓器や四肢の形成ができた可能性を示唆した。surveyor mutation検査及びDNAシーケンス解析により、2匹の離乳したGFP陽性キメラマウスが複合ヘテロ(Fgf10 Ex1-/Ex3-)胚由来であることを証明した。この2匹の複合ヘテロ胚由来キメラマウスを成年まで(それぞれ4ヶ月と6ヶ月)飼育し、殺処分した後に組織学的な解析を行ったところ、肺臓器は強いGFP発現を認め、肉眼的にも、マイクロ的にもFgf10野生型マウスの肺と差がないことを示した。肺臓器の各種細胞マーカーを使って免疫蛍光染色を行ったところ、肺胞Ⅰ型上皮細胞、Ⅱ型上皮細胞、気管上皮のクラブ細胞、血管内皮細胞を含む間質細胞のほとんどがGFP陽性であり、ES細胞由来であることを示唆した。 胚盤胞補完法を用いて肺欠損マウスにおいてES細胞由来の機能的な肺臓器再生の可能性を示唆した。但し、効率は極めて低く、改良する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいる。 ES細胞によるキメラ率が低く、産仔マウスが里親に捕食されたりすることもあり、離乳まで生存できたキメラマウスが少なくて、効率が低かったが、確実に複合ヘテロ胚由来の生存しているキメラマウスを確認できたため、おおむね計画通りに本研究の前期目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、複合ヘテロ胚由来の生存しているキメラマウスをさらに解析し、肺臓器がどこまでES細胞より形成されたかを評価していく。また、ES細胞の質コントロールやマイクロインジェクションするES細胞の数などの条件を改良し、より効率的なES細胞由来の機能的な肺臓器再生を目指す。また、ヒトへの臨床応用を見据え、異種の多能幹細胞に由来する肺臓器再生にもチャレンジしていく。
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Research Products
(2 results)