2018 Fiscal Year Research-status Report
末梢血エクソソームの定量プロテオミクスによる肺結核の画期的バイオマーカー探索
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18K15924
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木庭 太郎 大阪大学, 医学系研究科 呼吸器・免疫内科学, 医員 (00812942)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結核 / エクソソーム / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、血清エクソソームの最新プロテオミクスによる結核バイオマーカーの探索に挑んでいる。活動性肺結核の診断は、主に喀痰塗抹・培養検査やPCRで行われているものの、検体採取の困難さや培養検査の長期にわたる判定時間から問題点が多い。そこで、診断・治療ストラテジーのパラダイムシフトとして、末梢血由来の特異性の高いBMの開発が肝要であると考えた。 悪性疾患においては、エクソソームは診断だけでなく病態や治療において精力的な研究が進んでいるが、感染症に関する報告はわずかであり、結核においては世界初の挑戦である。すでに、エクソソームは、細胞内寄生菌の一つである結核菌の増殖に関与することが示唆されているため、肺結核の病態形成にも関与することが想定される。 Discovery cohortとして、結核患者7人と健常者10人の血清エクソソーム蛋白を最新プロテオミクス(TMT-LC/MS/MS)で網羅的に解析したところ、合計2284蛋白を同定した。これらの中には、通常の末梢血のプロテオミクスでは捉えることが困難な、膜蛋白などが豊富に含まれていた。その中で、結核患者では、208蛋白が健常者と比べて有意に増加しており、また、54蛋白が有意に低下していた。尚、結核治療後患者における検討では、上記208蛋白のうち、14蛋白が結核治療後に有意に低下していた。 今後は、Validation cohortとしての定量的・特異的なターゲットプロテオミクス(SRM: Selected Reaction Monitoring)による大規模検証や、実用化を目指したWestern BlottingやElisa等による候補蛋白の検討を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的な検討は終了済であり、バイオマーカー候補蛋白を絞りつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
結核特異的バイオマーカー候補蛋白の再現性を定量的な質量分析SRMでバリデーションコホートにおいて検討予定。また、in vitroでの肉芽種形成に関するエクソソームの役割なども検討予定。
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Causes of Carryover |
結核診断のバイオマーカーとしての検討に関しては多検体を用いての再現性確認が必要。また、結核菌発育や肉芽種形成におけるエクソソームの役割の解明のために、in vitro実験を検討中。
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