2019 Fiscal Year Research-status Report
EGFR-C797S/T790M変異による多剤耐性の検出と克服の分子基盤研究
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18K15936
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
内堀 健 公益財団法人がん研究会, 有明病院 呼吸器内科, 医長 (40633053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EGFR遺伝子 / EGFR-TKI / C797S |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFR遺伝子変異は強力ながん遺伝子であるdriver oncogeneの一つであり、恒常的なキナーゼ活性化による増殖シグナルを生み出すことで細胞癌化の原因となっている。現在では、このキナーゼ活性を阻害する分子標的薬(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤:EGFR-TKI)が非常に高い臨床効果を示す。一方で、分子標的薬治療には必ず耐性が生じることが問題となっている。EGFR-TKIに対しても、初回治療の増悪例ではおよそ半数がT790M変異による耐性が生じ、これに対してはosimertinibが有効であるため保険承認されているが、一部の症例でC797Sの追加変異が出現して再び耐性となる。 申請者は、T790M/C797S耐性に対してはbrigatinib+抗EGFR抗体の併用による克服の可能性を報告しているが、令和2年度からC797S耐性変異陽性進行EGFR肺癌に対するブリガチニブ+パニツムマブ併用療法の適応拡大を目指し、本併用療法の有効性および安全性を評価する多施設共同第I/II相試験(医師主導治験)がAMED革新がん研究の中で開始されることとなり、申請者も研究開発分担者の一人となっている。 また、本研究では血漿中のcfDNA をdroplet digital PCRを用いて高感度に検出する方法を検討し、osimertinib治療をに対する抵抗性が出現した一部の症例ではT790M/C797Sの出現が確認できた。実臨床への応用について研究結果をさらに精査している段階である。さらに初回治療osimertinib経過中に血漿cfDNAを経時的に採取してNGS解析を行っている。耐性出現時にC797Sや他の原因遺伝子がどのように検出されるかについて、結果が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T790M/C797S耐性に対するbrigatinib+抗EGFR抗体の効果を検証する医師主導治験が始動したことは、本研究から得られた知見が実臨床へ応用されるという点で非常に意義が高い。T790M後のosimertinib治療中の血漿cfDNAを経時的に解析する研究については、登録19例の検体回収が完了しており、結果解析に移行している。さらに、Osimertinibが初回治療にも使用可能になったことをうけて、このsettingでも血漿cfDNAを経時的に採取してNGSによる解析を行う研究を開始して、2020年4月までで40症例から投与開始初期におよそ200のサンプルの集積および解析が順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度には順調な進捗が達成できたため、引き続き予定通りに研究を継続していく。 ・brigatinib+抗EGFR抗体の効果を検証する医師主導治験が始動されるため、研究分担者としての責務を全うする。 ・ddPCR解析についてはすべてのサンプル回収が終了し解析結果の報告を予定する。 ・NGS解析についても投与開始2か月までのサンプル回収は全例で終了しており、これらを用いた解析結果を検証する。
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Causes of Carryover |
2020年2月からのCOVID-19に対応する必要が出てきたことで、2,3月に実施予定の実験を次年度に繰り越したため、そのために必要な消耗品の購入は次年度に行うよう計画している。
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Research Products
(2 results)