2018 Fiscal Year Research-status Report
患者由来気道上皮細胞を用いた閉塞性肺疾患におけるウイルス感染遷延化機序の解明
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18K15953
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神尾 敬子 (花村敬子) 九州大学, 大学病院, 医員 (50813771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス感染遷延 / HSP70 / PD-L1 / 気道上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
①感染初期のウイルス感染遷延に関与する疾患特異的な宿主因子として、熱ショックタンパク質 (HSP)に着目し、患者由来気道上皮細胞におけるHSP発現の解析を行った。健常人、COPD患者より採取した初代培養気道上皮細胞 (PBEC)よりwhole cell proteinを抽出し、ELISA法にてHSP70を測定したところ、健常人と比較しCOPD患者由来のPBECでは有意なHSP70の濃度上昇を認めた。また培養上清中のHSP70濃度も同様に、COPD患者由来のPBEC培養上清では健常人由来のものよりもHSP70濃度が上昇していた。そこでCOPD患者由来PBECでのHSP70発現上昇の原因として、喫煙による活性酸素に着目をした。健常者由来のPBECに活性酸素 (H2O2)を処置したところ、HSP70の遺伝子発現の上昇を認めた。
②感染中期から後期のウイルス感染遷延に関与する宿主因子として共抑制分子PD-L1に着目し、PI3K-delta阻害剤のPD-L1発現に対する効果を検討した。健常人より採取したPBECを合成2本鎖RNAアナログであるpoly:ICで刺激すると、細胞表面上のPD-L1の発現上昇を認めた。PI3K-delta阻害剤 (IC87114)の前処置により、このPD-L1の発現上昇は抑制された。培養上清中の炎症性サイトカイン・ケモカイン濃度もまた、poly:IC刺激群で上昇を認め、PI3K-delta阻害剤 (IC87114)前処置によりその上昇の抑制を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウイルス・サンプルを保存していたdeep freezerの故障により、約半年分のサンプルが廃棄処分となった。またウイルスのpropagationおよびtitrationに時間がかかっており、ウイルスを用いる実験が初年度は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①感染初期のウイルス感染遷延に関与する疾患特異的な宿主因子:HSP70 PBECに活性酸素前処置有/無ののち、ヒトメタニューモウイルス (hMPV)を感染させ、ウイルス増殖能の変化の解析ををこなう。さらにHSP70阻害剤前処置後にhMPVを感染させ、同様にウイルス増殖能の変化の解析をおこなう。 ②感染中期ー後期のウイルス感染遷延に関与する宿主因子:PD-L1 PBECにhMPVを感染させ、poly:IC同様にPD-L1の発現上昇を認めるかの確認をおこなう。またPI3K-delta阻害剤前処置後にhMPVを感染させ、PD-L1の発現量の変化を検討する。
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