2018 Fiscal Year Research-status Report
特発性肺線維症の発症と進行におけるTET遺伝子制御を介したマイクロRNAの関わり
Project/Area Number |
18K15955
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高木 弘一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (40707866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | microRNA-22 / TET / IPF / TGFβR |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症は診断時からの平均余命が約5年程度と報告されており、難治性肺疾患の一つである。当施設で過去に行った血清検体を用いた検査で、特発性肺線維症の患者において、健常人と比較しmiR-22が亢進を認めたことより、miR-22が特発性肺線維症の病態に関わる可能性が示唆された。本研究は難治性疾患である特発性肺線維症の病態におけるmicroRNA-22とその標的遺伝子であるTET2遺伝子の関わりについて明らかにし、肺線維症の新規治療標的を検索することを主目的としている。 2018年度はmicroRNA-22 deficientマウスを用いた動物実験と、ヒト気管支上皮細胞やヒト肺血管内皮細胞を用いた細胞実験を主に行った。microRNA-22 deficientマウスの肺組織において、WTマウスと比較しTET2遺伝子の発現の亢進を認めた。また、8~12週齢のマウスに対するブレオマイシンの気管内投与による肺線維症モデルでは、microRNA-22 deficientマウスにおいて、差は軽微であるが、肺線維化が抑制される傾向を認めた。 microRNA-22の標的遺伝子として培養細胞を用いてTET遺伝子以外にも検索を行い、肺血管内皮細胞ではTGFβRを標的とすることを明らかにした。TGFβは肺線維化に関わることが示されているサイトカインであり、microRNA-22によるTET2発現抑制、肺線維化亢進に至る経路に何らかの影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
microRNA deficientマウスの繁殖効率が悪く、実験に必要な匹数を確保することに時間を要している。また、8~12週齢のマウスを使用しての肺線維症モデルでは、microRNA-22 deficientマウスとWTマウス間での肺線維化の差が軽微であることもあり、microRNA-22の発現が亢進する老齢マウスでの実験を行うため6カ月以上の飼育日数延長が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNA-22は加齢とともに発現が亢進することが指摘されており、WTマウスとmicroRNA-22 deficientマウスとの間でmicroRNA-22の発現の差がより出やすい老齢マウスを用いてのブレオマイシンによる肺線維症モデルでの検討を追加する。TET2遺伝子の減弱はインフラマソーム形成を亢進することが指摘されており、また、インフラマソームは肺線維化を亢進することも報告があるため、ブレオマイシン気道内投与による肺線維症モデルにおいて、microRNA-22 deficientマウスとWTマウスとの間でインフラマソーム形成に関連する蛋白やサイトカインの発現について比較を行う。 microRNA-22およびTET遺伝子が肺線維化に関わることが証明できれば、その関与が骨髄由来の細胞によるものか、肺局所由来の細胞によるものかを明らかにするため、骨髄キメラマウスを作成し検討を行う。 TGFβシグナルとTET遺伝子の相互作用の有無を確認するため、上皮細胞、内皮細胞の他に単球細胞、線維芽細胞においても、microRNA-22をトランスフェクションし、TGFβ刺激に対する反応の変化について調べる。
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