2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K15960
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 衛 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (90573311)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Ⅱ型肺胞上皮細胞 / 肺気腫 / 喫煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期間の喫煙曝露(鼻限定曝露、1回1時間、週5日、3ヶ月間)を実施したマウスにおいては肺組織のIHCによる評価においてSPC陽性細胞率が増加していた。GFPの発現でSP-Cが識別可能なSftpc/GFP マウス(生後9-11週齢、雌)に長期間の喫煙曝露(鼻限定曝露、1回1時間、週5日、3ヶ月間)を実施し、同週齢のマウスを対照群として比較した。曝露終了後にⅡ型肺胞上皮細胞の単離、FACSによるSPC強陽性細胞の分離を行い、3次元培養および2次元培養系にて比較を行った。 単離されたⅡ型肺胞上皮は3次元培養系において高いcolony forming efficiencyを示し、さらに2次元培養系においても長期喫煙群が高い生存率を示した。また、Ⅰ型上皮へと分化を示す2次元培養のmonolayerによる検討においてもlayerの形成が喫煙群のほうが有意に高いことが示された。上記により、喫煙による影響によって、Ⅱ型上皮の自己複製能が高まっていることが示唆され、さらに分化能の阻害も認められないことが示された。喫煙におけるⅡ型上皮に対する影響をさらに詳しく検討する目的で単離されたⅡ型肺胞上皮細胞をmiroarrayにて検討したところ、もっとも変化が認められた因子はcircadian rythmに関連したpathwayであった。 喫煙による影響をさらに検討する目的でタバコ抽出液による3次元培養系への影響を検討したところ、適度なタバコ抽出液の濃度においては3次元培養におけるcolony forming effciencyやcolony sizeが増大することが示され、高い濃度においてはapoptosisが誘導されることが示された。 上記より喫煙によるⅡ型肺胞上皮細胞への影響を検討し、自己複製能の増加が起こっていることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験系において上記の通り、喫煙の影響下によるⅡ型肺胞上皮細胞の3次元培養、2次元培養、microarrayでの評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
肺胞Ⅱ型上皮細胞の動態として、喫煙による自己複製能の増加が示された。肺気腫病態の肺胞壁破壊での病態とは相関しない結果となり、Ⅱ型上皮の反応が線維芽細胞の機能低下から二次的に起こっている可能性が考慮されている。 喫煙による肺線維芽細胞の機能障害についての検討を行うか、ヒト検体における肺胞Ⅱ型上皮細胞の動態をCOPD患者および健常者での比較を行うことを検討する。
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