2020 Fiscal Year Research-status Report
膠原病性肺高血圧症における炎症・組織リモデリングの解明に向けた免疫組織学的検討
Project/Area Number |
18K15967
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大郷 恵子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (30601827)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 炎症 / 膠原病 / 右心不全 / 循環器病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧症は、明らかな原因なく肺動脈圧・肺血管抵抗の高度の上昇が起こり、右心不全から死に至る厚労省の指定難病である。膠原病では高率に肺動脈性肺高血圧症の合併がみられるが、特発性肺動脈性肺高血圧症の特効薬である血管拡張薬に抵抗性を示し予後不良のため、病態の解明と新規治療の探索が急務である。予後不良の要因として、膠原病では組織学的に肺動脈のみならず肺静脈にも閉塞性病変がおよび易く、肺静脈閉塞症に類似する点があげられるているがその病態はよく調べられていない。さらに肺高血圧症の予後においては、上昇した肺動脈圧・肺血管抵抗に対して右室が適応しているかが重要な因子となるが、これまで十分調べられていない。 本研究では肺高血圧症剖検例を用いて膠原病に伴う炎症のタイプ・組織リモデリングがどのように肺血管病変と心病変に関わっているか、組織学的及び免疫組織学的に多面的に評価することにより、治療戦略へつなげることが目的である。2020年度は、膠原病性肺動脈性肺高血圧症の11症例と特発性肺動脈性肺高血圧症の14症例の病理組織像の詳細な比較を行い、肺動脈の閉塞病変および炎症は両群ともに高率にみられる一方、肺静脈の閉塞病変および炎症は膠原病性でより高率に合併している傾向にあった。特に強皮症症例では肺静脈閉塞症類似の高度な変化を示していた。これらより膠原病性の方がより広汎に肺の小血管を炎症性に侵すことが予後不良の病態に関与しているのではないかと推測した。一方、Tリンパ球とマクロファージのマーカーを用いた免疫プロファイルは両群で類似しており、さらに細かい違いがないか検討予定である。研究要旨を第85回日本循環器学会学術集会で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺の免疫染色はより細かいマーカーを用いた検討を必要としており時間を要しているのと、心臓の免疫染色による検討が遅れているため、やや遅れているとの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた所見から膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症では、組織学的及び免疫組織学的に肺静脈閉塞症と肺動脈性肺高血圧症の両者に類似する所見を認めているが、一般的な炎症細胞マーカーによる免疫プロファイリングでは類似していたため、さらに詳細なサブタイプについて炎症細胞マーカーやサイトカインの免疫染色を行っているところであり、それらにより異なる特徴がないかについて明らかにしていく。また同時に、心臓に関して右室リモデリングの程度や炎症の関与などについて、膠原病に関連する肺動脈性肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症、および肺静脈閉塞症において、類似点や相違点を見出し総合的な評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は肺についての組織学的解析とさらなる免疫染色の実施、データ解析に使用するソフトウェアの購入を行ったが、免疫染色の種類も多いことや時間的制約もあり未使用の予算や人件費が生じたこと、新型コロナウイルスのパンデミックに関連して旅費が予定より少なかったことなどによる。2021年度は肺に関してさらに詳細なフェノタイピングを行い、心臓の解析も追加し、学会発表や論文校正・投稿のために、2020年度分と合わせて執行する予定である。
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