2022 Fiscal Year Annual Research Report
Inflammation and tissue remodeling of pulmonary arterial hypertention associated with connective tissue disease - Immunohistochemical analysis
Project/Area Number |
18K15967
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大郷 恵子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (30601827)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炎症細胞 / Tリンパ球 / 肺高血圧 / 膠原病 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、明らかな原因なく肺動脈圧・肺血管抵抗の高度の上昇が起こり、右心不全から死に至る厚労省の指定難病である。膠原病では高率にPAHの合併がみられるが、特発性PAHの特効薬である血管拡張薬に抵抗性を示し予後不良のため、病態の解明と新規治療の探索が急務である。本研究では膠原病に伴う病変の特徴、炎症のタイプ・組織リモデリングがどのように肺血管病変と心病変に関わっているかを調べ治療戦略へつなげることを目的とし、肺高血圧症剖検例を用いて組織学的及び免疫組織学的に多面的に評価した。その結果、膠原病に伴うPAHでは組織学的に、肺静脈閉塞症に類似する症例、特発性PAHに類似する症例、両者が混在する症例を認めた。膠原病性PAHでは、壊死性動脈炎は認めず、動脈内膜炎(endarteritis)が全ての症例で見られた一方、特発性IPAHでは両者が見られた。肺静脈の閉塞病変は特発性PAHに比べ、膠原病性PAHでより多く合併し細静脈炎を高頻度に認めた。強皮症症例では肺静脈閉塞症類似の高度な変化を示していた。炎症部でのTリンパ球とマクロファージは膠原病性とそれ以外で類似しており、マクロファージはCD163陽性マクロファージが増加し、Tリンパ球はヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞いずれも増加していた。心筋の線維化は膠原病性PAHでより多く見られており、最終年度は心筋の線維化と炎症と組織リモデリングのマーカーであるテネイシンCとの関連を調べた。これらより、自己免疫を基盤とする炎症に伴う肺動静脈のリモデリングと心筋リモデリングの両者が、膠原病性PAHの病態悪化・予後不良の一因と考えられた。
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