2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病腎症における糸球体メサンギウム細胞ROCK1の意義
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18K15985
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
的場 圭一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20459647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / 糸球体メサンギウム細胞 / Rho-kinase / ROCK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病腎症を有する患者数は世界的規模で増加の一途を辿っており、そのステージ進行にともなう生命予後低下とQOL悪化が大きな臨床的課題となっている。糖尿病腎症の病態解明は末期腎不全への進展を阻止する新たな治療戦略の構築につながることから、学究的な側面のみならず、透析医療を取り巻く経済的側面からも喫緊の課題となっている。低分子量GTP結合蛋白Rhoと下流分子ROCKは、アクチンストレスファイバーの脱重合やミオシン軽鎖のリン酸化による細胞形態や伸縮性の調節をはじめ、細胞の遺伝子発現にも関与している。ROCKにはROCK1、ROCK2という二つのアイソフォームが存在するが、活性化に至る分子機序や遺伝子欠損マウスにおける表現型の違いから、各アイソフォームは独自の機能を有すると想定されている。本研究では、腎糸球体構成細胞におけるROCK1のアイソフォーム特異的な役割を分子生物学的手法で明らかにすることを目的とした。ROCK1には特異的な阻害薬が存在しないため、その役割を解析するには遺伝子操作が不可欠であり、申請者らが保有しているROCK1欠損マウスを用いた研究計画を立案した。当該年度はROCK1欠損マウスを繁殖させて安定的に飼育することに成功し、磁気ビーズを用いて糸球体を収穫する操作を行った。得られた細胞群においてメサンギウム細胞に発現する数種類の蛋白を免疫染色で同定し、糸球体からメサンギウム細胞が単離されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ROCK1欠損マウスの繁殖と飼育を安定的に行うことに成功し、計画通り糸球体メサンギウム細胞を単離する操作を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ROCK1欠損マウスで糖尿病腎症モデルを作製し、尿アルブミン値と腎の組織学的所見から、腎症の進展過程におけるROCK1の病態的意義を検討する。
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Causes of Carryover |
マウス飼育数が予定より少なく済んだため。
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