2021 Fiscal Year Annual Research Report
To detect the early podocyte injury in human glomerulopathies
Project/Area Number |
18K15986
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡部 匡裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70595272)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポドサイト / ポドサイト傷害 / EGR-1 / 糸球体疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒト糸球体疾患において,早期ポドサイト傷害マーカーとしてのMAFFおよびEGR-1の有用性を見出すことを目的とした. ポドサイト特異的傷害モデルであるNEP25マウスを使用し,Egr-1およびMaffが傷害早期よりポドサイトに発現すること,マウスのポドサイト傷害マーカーであるdesminと共染色すること,またヒト糸球体疾患にもEGR-1発現ポドサイトが存在することを雑誌発表した. ヒト組織において,抗体の問題でMAFF染色が困難であり,EGR-1染色に絞って研究を進めた.蛍光染色での共染色評価は困難であり,連続パラフィン切片に対して酵素抗体法での染色を行い,ポドサイトのEGR-1発現を検証した. 腎生検で糸球体疾患と診断された患者98症例を用いて,EGR-1発現と,尿蛋白および尿中ポドサイトマーカーとして腎生検時の尿nephrin mRNAならびにpodocin mRNAとの関連を調査したところ,ポドサイトEGR-1陽性糸球体率が尿蛋白量,尿nephrin mRNA量,尿podocin mRNA量と相関していた.サブグループ解析としてIgA腎症症例における検討でもポドサイトEGR-1陽性糸球体率は尿蛋白量および尿podocin mRNA量と相関していた.以上より,糸球体疾患においてポドサイトのEGR-1発現の程度とポドサイト傷害の程度ならびに脱落ポドサイトの程度に関連があることが示唆された.ヒトのポドサイト傷害の染色マーカーは現在のところ存在しないが,EGR-1がこれになり得ると考えられた. さらにループス腎炎症例 64例を用いてポドサイトEGR-1陽性糸球体率を比較したところ,ポドサイトEGR-1陽性糸球体率はSLEDAIスコアおよび1日尿蛋白量と正相関し,推算糸球体濾過量と逆相関した.組織解析では,ポドサイトEGR-1陽性糸球体率は,IV型で他の組織型より有意に高く,また細胞性/線維細胞性半月体糸球体率と相関したが, 硬化糸球体率や尿細管間質障害度とは相関しなかった. EGR1陽性ポドサイトはループス腎炎の活動性と関連していた.
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