2019 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病患者における石灰化ストレスマーカーの確立
Project/Area Number |
18K16000
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 悠介 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80756817)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 血管石灰化 / 慢性腎臓病 / マグネシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の2部で構成される。第一に、慢性腎臓病患者における石灰化ストレスのマーカーとして期待される血中T50値が実際に血管石灰化の進行を予測し得るかを臨床的に検証する。研究デザインは保存期慢性腎臓病患者および血液透析患者(計300例)を対象とした前向き観察研究であり、冠動脈石灰化スコアの1年間での上昇率とT50の関連を解析する。これにより、石灰化ストレスマーカーとしてのT50の臨床的妥当性を確立する。 次に、石灰化ストレスを緩和させる手段としてマグネシウムの効果を検証する。90例の血液透析患者を対象としたランダム化比較試験において、6か月間の酸化マグネシウム製剤投与によるT50の改善効果を解析する。 これらの研究を通じて、石灰化ストレスという概念を慢性腎臓病患者の診療に浸透させ、T50に基づくミネラル管理の個別化を図る。特に高リン血症治療が難しい症例に対して、マグネシウム投与という石灰化ストレスへの新しい治療戦略を提供する。 ① 前向きコホート研究『慢性腎臓病患者の血中石灰化ストレスと血管石灰化・動脈硬化の進行の関連』については目標症例数300例のところ、120例を試験登録した。しかし、大阪府下でのCOVID-19の蔓延および緊急事態宣言の発令に基づく自治体からの要請により大阪大学として研究活動が制限されるに至った。今後の症例のエントリーや研究継続の可否については、現時点においては、不透明と言わざるを得ない。 ② 非盲検ランダム化比較試験『血液透析患者の血清T50に対する酸化マグネシウムの効果』については、保存血清サンプルを用いて血清T50値を測定した。結果として、期待された通り、酸化マグネシウム群におけるT50値の改善が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ランダム化比較試験に関してはデータ解析がほぼ完了した。前向きコホート研究については症例エントリーは順調であったが、上述の通り、今後の研究継続の可否については予断を許さない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
少なくともこれまでに収集することができた臨床サンプルに関して、血管石灰化マーカーを評価し、冠動脈石灰化の進行との関係について解析を行う予定である。
|