2020 Fiscal Year Annual Research Report
The development of new therapeutic strategy for diabetic nephropathy
Project/Area Number |
18K16006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
畔上 達彦 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 助教 (60573376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / 終末糖化産物 / ワクチン / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アンメット・メディカル・ニーズの高い糖尿病性腎症の予防・治療を目的として、終末糖化産物受容体(RAGE)を標的とした治療ワクチンの開発を目指した。RAGEのアミノ酸配列から、B cell epitopeとなる短鎖ペプチド配列を同定し、キャリア蛋白KLHと結合し、ワクチン抗原(RAGE-KLH)を作成した。RAGE-KLHに、フロイントアジュバントを組み合わせることで、高い抗原特異的IgG抗体価が得られた。 1型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン投与DBA/2Jマウスにおいて、RAGE-KLHワクチン皮下注射免疫は、アルブミン尿の増加を抑制し、さらに病理組織学的な変化(糸球体腫大、メサンギウム基質拡大、糸球体基底膜肥厚、糸球体ポドサイト減少)を軽減した。また、2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスにおいても、RAGE-KLHワクチン皮下注射免疫は、アルブミン尿の増加を抑制し、さらに病理組織学的な変化(糸球体腫大、メサンギウム基質拡大)を軽減した。 さらに、RAGE-KLHワクチン接種によって誘導された血清IgGを抽出・精製し、その効果を、ヒト培養内皮細胞を用いて、in vitroで評価した。誘導されたIgGは、終末糖化産物(AGEs)刺激後のVCAM-1,ICAM-1の発現上昇を抑制した。 これらの結果から、RAGE-KLHワクチンは、抗原特異的なIgG抗体を誘導し、AGEs-RAGEシグナルを抑制することで、1型糖尿病および2型糖尿病における腎症の進展を抑制することが示された。
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