2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性抗体関連型拒絶反応の傍尿細管毛細血管内皮障害における小胞体ストレスの関与
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18K16010
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 賛光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90439779)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ER-stress / 腎移植 / CHOP / Bip |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで腎移植後の慢性抗体関連型拒絶反応(chronic AMR)における内皮障害にMAPKの一つであるJNKにより活性化される核内のtranscription factorであるc-Junの関与につき免疫組織学的に示し報告してきた。近年、この経路の活性に小胞体ストレス(endoplasmic reticulum stress: ER stress)の関与が報告されているため、今回chronic AMRの傍尿細管毛細血管(ptc)内皮におけるER stressの発現につき調べることを目的とし、まず、移植腎生検で得られた検体のパラフィン切片を用いて、そのマーカーであるC/EBP-homologous protein(CHOP)およびBipの染色を試みた。条件や抗体を変更し染色をおこなったがうまくworkしないため凍結切片をもちいたIFに変更した結果、染色条件の安定化が得られた。 しかしながら、当初予想していたようにptc内皮におけるCHOP等の発現は確認できなかった。一方で、ER-stressは移植腎において免疫抑制剤であるカルシニューリン阻害剤の影響で尿細管上皮で活性化し、尿細管間質障害に関与することが報告されているが、今回のIFによる染色では、各症例により尿細管上皮の核における明らかな発現の違いがあることが判明した。そこで、ターゲットをptc内皮ではなく尿細管上皮にへ変更し、腎移植後の尿細管上皮におけるER stressの意義につき調べることとした。現在約30症例の染色を終え、CHOPおよびBipをカウントしスコア化をすすめている。この結果と移植腎機能や蛋白尿、移植腎生検での各種組織障害との関連性につき解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラフィン切片での染色がうまくいかず、凍結切片でのIFに変更したため染色条件の設定に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のCHOPおよびBipスコアと移植腎機能や蛋白尿、移植腎生検での各種組織障害との関連性につき解析を行っていく予定である。また、陽性コントロールとしてすでに複数の報告がある糖尿病性腎症の症例を用いて染色を追加する。人の腎生検検体での検討の後、Rat腎移植のAMRモデルをもちい、高度尿細管間質障害が経時的に進行していく過程で尿細管上皮におけるこれらの発現がどのようになっているかを確認するため、免疫染色だけでなくウエスタンブロットやreal time PCRなどでの確認も試みる予定である。
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Causes of Carryover |
人の腎生検検体での免疫染色での結果がまとまり次第、経過を学会等報告する予定であったが、染色法の変更などにより研究の遅延が発生し直接的な結果の報告にまでいたらず旅費が残っていること、免疫染色用物品が抗体以外についてはすでに研究室にあるもので代行できたものがあったため物品費も節約できたため。 次年度は、染色追加に伴う物品やRat腎移植モデル作成後のウエスタンブロットなどに関する物品購入および結果報告の学会発表のための旅費に使用する計画である。
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