2018 Fiscal Year Research-status Report
食事由来酸化ステロールの表皮基底細胞増殖亢進作用による乾癬悪化メカニズムの解析
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18K16026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
嵯峨 礼美 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員(常勤) (10535925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ステロール / 乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬と肥満・メタボリックシンドロームの関連が報告されている。しかし共通の遺伝子異常は報告されていないことから、共通の背景として生活習慣、特に食事中の特定成分の関与が推定されるが、これまでの報告で物質を特定したものはない。外因性酸化ステロールは、内因性の酵素ではなく、食品保存中の自然酸化や、大気汚染物質のフリーラジカルなどによってコレステロールが酸化を受け精製されるものである。外因性酸化ステロールはいくつかの種類があるが、申請者はこれまでの文献で冠動脈硬化症との関連が示唆されている7-ketochokesterol(7-KC)に着目した。 C57BL/6Jマウスに、高脂肪食を基本とし、① 7-KCを添加する餌、② 7-KCを添加しない餌を作成した。イミキモド誘発乾癬モデルに、事前に①または②を投与し、乾癬の病態への影響を調べた。ヘマトキシリン・エオジン染色 (HE染色) を行い、表皮層の肥厚が増加するか調べた結果、②群において表皮細胞の肥厚の有意な増加が認められなかった。 次に、高脂肪高コレステロール胆汁酸添加食を基本とし、③ 7-KCを添加する餌、④ 7-KCを添加しない餌を作成した。イミキモド誘発乾癬モデルに、事前に③または④を投与し、乾癬の病態への影響を調べた。ヘマトキシリン・エオジン染色 (HE染色) を行い、表皮層の肥厚が増加するか調べた結果、③群に比べ、④群において表皮層の肥厚の有意な増加が認められた。 現在、分子メカニズムについて、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8-12週齢のC57BL/6Jマウスに、高脂肪食(Western type diet)を基本とした、① 高脂肪食、② 高脂肪食+7-KC負荷食を3週間食餌させた後、5%イミキモドクリームを右耳介,背部皮膚に4日間塗布し、耳介厚を測定した結果、②群において有意な増加が認められなかった。また、5日後に背部皮膚を採取し、ヘマトキシリン・エオジン染色 (HE染色) を行い、表皮細胞の肥厚が組織学的に増加するか調べた結果、②群において表皮層の肥厚の有意な増加が認められなかった。 そこで、8-12週齢のC57BL/6Jマウスに、コレステロール吸収を顕著に促進する胆汁酸を加えたPaigen食を基本とした、③ 胆汁酸含有食(7-KC(-))、④ 胆汁酸含有7-KC負荷食(7-KC(+))を3週間食餌させた後、5%イミキモドクリームを右耳介,背部皮膚に4日間塗布し、耳介厚を測定した結果、③群に比べ、④群において耳介厚の有意な増加が認められた。さらに、5日後に背部皮膚を採取し、ヘマトキシリン・エオジン染色 (HE染色) を行い、表皮細胞の肥厚が組織学的に増加するか調べた結果、③群に比べ、④群において表皮層の肥厚の有意な増加が認められた。 これらの結果より、酸化ステロールである7-KCが乾癬を悪化させることに寄与していると示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
コレステロール吸収を顕著に促進する胆汁酸を加えたPaigen食を基本とした胆汁酸含有7-KC負荷食を与えた乾癬誘導マウスにおいて、耳介厚、背部皮膚の肥厚の有意な増加がみられ、乾癬が7-KC負荷により悪化することが示唆された。 今後、1) 表皮内の7-KCの定量:イミキモド誘導乾癬マウスの 背部皮膚から脂質抽出、固相抽出法で酸化ステロールを抽出し、ガスクロマトグラム質量分析 (GC-MS) を用いて、7-KC負荷食群において表皮内の7-KCの蓄積量、コレステロール:7-KC比を定量する。 2) 皮膚切片における質量分析イメージングを用いた7-KCの局在解析:イミキモド誘導乾癬マウスの耳介および背部皮膚を採取し、質量分析イメージングを用いて、7-KC負荷食群において表皮基底細胞内に7-KCが局在しているかを解析する。 3) サイトカインの発現解析:(a) イミキモド誘導乾癬マウスの背部皮膚からのmRNA を抽出し、定量的PCR 法を用いてIFN-γ, TNF-α, IL-12, IL-23, IL-17A, IL-22 のmRNA 量を定量し、コントロール食群に比べ、7-KC 負荷食群でmRNA の発現量が増加するかを解析する。 (b)イミキモド誘導乾癬マウスの血清を採取し、ELISA 法を用いてIFN-γ, TNF-α, IL-12, IL-23, IL-17, IL-22 のタンパク質発現量が、コントロール食群に比べ、7-KC 負荷食群で増加するかを解析する。
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