2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of thermoregulatory disorders using sweat gland organoids generated from human sweat gland stem cells
Project/Area Number |
18K16028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉田 隆一郎 大阪大学, 薬学研究科, 招へい教員 (50773115)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 汗腺 / 幹細胞 / オルガノイド / 発汗 / 熱中症 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱中症患者が増え続ける「超高齢国」日本では、汗腺による体温調節機能の低下が社会的問題となっている。この体温調節機能を改善するため、発汗機能に障害を及ぼす遺伝子がマウスの研究から同定されてきた。しかし、体温調節機能はヒト汗腺で特有のため、マウスで同定された遺伝子がヒトの発汗障害に関わるとは限らなかった。これまで我々はヒト汗腺構造体の再生に向け汗腺細胞を同定し、汗腺幹細胞の培養法の確立してきた。また、汗腺の機能解析に向け、汗腺の3次元構造解析法を確立した。そこで、この独自技術を活用し、機能的に生体組織に近い汗腺構造体をヒト汗腺幹細胞から再生し、その構造体に原因遺伝子を導入し て汗腺の機能障害を調べることにした。 研究計画・方法に記載の通り、機能解析が可能な汗腺構造体を汗腺幹細胞から作製するため、汗腺幹細胞の再生能を発揮させる微小環境を汗腺の3次元構造解析から探索した。汗腺の基底膜のプロファイリングを行ったところ、汗腺の導管部ではラミニン332を発現し、分泌部ではラミニン511が発現していた。分泌物ではラミニン511の受容体であるインテグリンα6β1が発現しており、ラミニン511が汗腺分泌部に存在する汗腺幹細胞の維持に関わる可能性が示唆された。一方、興味深いことに汗腺幹細胞を回転浮遊培養させることによって培養場の硬さを変化させたところ、同じ培地組成でも汗腺幹細胞の増殖活性能が増加することが判明した。今後は液性因子などの生化学環境だけでなく、物理環境も汗腺幹細胞ニッチの候補因子として検討していく予定である。
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