2018 Fiscal Year Research-status Report
末梢血TCRVδ1+γδT細胞のCD107a発現に着目した円形脱毛症の病態解明
Project/Area Number |
18K16034
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内田 洋平 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (30571856)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 円形脱毛症 / γδT細胞 / CD107a |
Outline of Annual Research Achievements |
円形脱毛症はT細胞を介した自己免疫疾患である。これまでの研究で脱毛症患者の末梢血液中のTCRVδ1+γδT細胞が活性化および脱顆粒を示すマーカーであるCD107aを過剰発現していることを明らかにした。このことから円形脱毛症の末梢血では、Vδ1T細胞の特異的活性化が生じている可能性を考えた。 続いて、円形脱毛症の末梢血 γδT細胞のサブセットであるVδ1T細胞の発現プロフィールと円形脱毛症の重症度に関連性があるかどうかについて解析した。頭部にのみ脱毛病変を認める患者群と比較して、頭部外にも脱毛病変を伴う患者群ではVδ1T細胞におけるCD107aの有意な発現増強が認められた。末梢血 CD107a+Vδ1T細胞の出現が重症度と相関していることが示された。 さらに、円形脱毛症の末梢血 Vδ1T細胞はsubstance P の受容体であるNK1Rを発現していた。In vitroにおいて、substance PはVδ1T細胞のCD107a発現やIFN-γ産生を誘導した。IFN-γは、脱毛を誘導する重要な病的ファクターである。 すなわち、円形脱毛症において、末梢血γδT細胞はsubstance PによりVδ1T細胞特異的に活性化し、IFN-γを介して毛包を障害することで脱毛をきたす可能性が示唆され、末梢血Vδ1T細胞を特異的に活性化の制御機構の解明は、円形脱毛症の病態メカニズムの構築と新たな治療ターゲットにつながる重要な成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、末梢血Vδ1T細胞におけるCD107aの発現増強が重症度と相関していることが判明し、さらに、円形脱毛症の末梢血Vδ1T細胞はsubstance P の受容体であるNK1Rを発現していることと、in vitroにおいて、substance PはVδ1T細胞のCD107a発現やIFNγの産生を誘導するという新たな事実を発見することができた。この成果は、今後、末梢血Vδ1T細胞を特異的に活性化する機序とその調節機構の解明が、将来的な円形脱毛症の治療法の確立につながる事を示す重要なものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた知見を基に、すでに円形脱毛症の病態において重要役割を担うと考えられているCD8T細胞と比較し、Vδ1T細胞を円形脱毛症の治療のターゲットとして応用するための研究をさらに推進する。CD107aにおける細胞障害性分子以外の機能として遊走能についても検討する。NK1Rを介した活性化シグナル伝達の解明を行うのため、末梢血 γδT細胞を用いた in vitroでの実験を進める予定である。
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