2018 Fiscal Year Research-status Report
分子標的治療薬による皮膚障害における表皮自然免疫応答の研究
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18K16037
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
御守 里絵 奈良県立医科大学, 医学部, 特任助教 (20533722)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分子標的治療薬 / 薬疹 / 自然免疫応答 / 抗菌ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、上皮系悪性腫瘍の治療に頻用されているEGFR阻害薬は、ざ瘡様皮疹や爪囲炎などの様々なタイプの特徴的な薬疹を高率に生じることが知られている。しかし薬疹発症の詳細なメカニズムについては未だ不明な点が多く、効果的な治療法に乏しい状況である。これまでにわれわれは、EGFR阻害薬が培養ケラチノサイトの自然免疫応答に及ぼす影響について研究し、EGFR阻害薬の一つであるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が表皮ブドウ球菌刺激由来の抗菌ペプチドβ-defensinの産生を選択的に阻害すること、また、もう一つのEGFR阻害薬である抗EGFRモノクローナル抗体(EGFR mAb)が、EGFR-TKIとは異なり、表皮ブドウ球菌のみならず黄色ブドウ球菌刺激由来のβ-defensin産生までも抑制することを明らかにしてきた。これらの結果は、EGFR阻害薬による薬疹の発症に皮膚自然免疫応答が密接に関わっていることを示唆している。本研究では、EGFR阻害薬が実際のヒトの皮膚の自然免疫応答に及ぼす影響について研究し、分子標的治療薬による皮膚障害の病態解明を目指している。今回われわれは、EGFR阻害薬の皮膚自然免疫応答への影響を検討するために、EGFR mAb投与患者およびEGFR-TKI投与患者の両頬部から角質を採取し、β-defensinの発現解析をELISA法にて行った。その結果、実際の患者皮膚においても、EGFR阻害薬が抗菌ペプチドの産生に影響を与えていることが判明した。EGFR阻害薬投与後の患者皮膚ではβ-defensinの産生量が減少し、この減少に伴いざ瘡様皮疹が出現する傾向がみられた。しかし、EGFR-TKIとEGFR mAbとの間でβ-defensinの産生抑制に対する明確な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究で、EGFR阻害薬が実際の患者皮膚における自然免疫応答に影響を及ぼすこと、さらにその影響は患者の皮膚症状に関わりがあることが判明した。今回の研究結果は、これまで明らかになっていなかったEGFR阻害薬による皮膚症状の発症機序に、β-defensinが深く関わっている可能性を示すものであり、分子標的治療薬による薬疹の治療法の手がかりや予防法の開発の一助となるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの研究結果とは異なり、実際の患者皮膚では、EGFR-TKIとEGFR mAbとの間でβ-defensin産生に対する明確な差は認められなかったが、引き続き症例数を増やし、さらに検討を行う。また、薬剤投与前後の患者皮膚について、皮膚細菌叢の網羅的解析を行い、細菌とEGFR阻害薬による皮膚障害および皮膚自然免疫応答との関わりについての検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(5 results)