2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of an efficient gene testing system for hereditary pigmentation disorders and functional analysis using genome editing technology
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18K16046
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岡村 賢 山形大学, 医学部, 助教 (40637229)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝性色素異常症 / NGS / targeted resequencing / OCA / HPS / DSH / MITF |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今の遺伝子解析技術の飛躍により、遺伝性色素異常症においても新規責任遺伝子が次々と同定されている。そこで我々は、次世代シークエンサーを用いたターゲットリシーケンス法により効率的かつ網羅的に遺伝性色素異常症患者の責任遺伝子をスクリーニングするシステムを確立し、従来のスクリーニング法で診断不能であった症例(未診断例)55例、および新規症例35例を解析した。その結果、未診断例22例 (40%)、新規症例30例(85%)において遺伝的に診断が確定した。その中には、Hermansky-Pudlak症候群 (HPS) 2, 3, 6型、Tietz症候群など、日本人では未報告、もしくは報告の非常に少ない症例が複数含まれていた。眼皮膚白皮症6型 (OCA6)の日本人初症例に関しては、CRISPR/CAS9システムを用いて患者と相似するミスセンス変異を持つモデルマウスを作製し、その機能解析を行っているところである。 また、OCA4の原因遺伝子であるSLC45A2のヘテロ接合性病的変異が一つのみ確認され、もう一方の変異が確認できない症例(suspected OCA4: sOCA4)において、SLC45A2のプロモーター領域にあるc.-492_489delAATGの4塩基欠失多型がsOCA4患者の大半に認められることを見出した。さらにin vitroの実験にて、この欠失バリアントにより遺伝子転写活性・DNA結合能が低下することを示し、c.-492_489delAATGはもう一方の病的変異と組み合わさることにより、OCA4を発症すると結論づけ、学術誌に報告した。また、このバリアントは健常人の数%においてキャリアーであることがわかり、日本人皮膚色に与える影響についても検討し、学術誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、遺伝性色素異常症の原因遺伝子に関して、Targeted resequencing法による効率的な遺伝子解析手法を確立した。さらに稀なサブタイプに関して、ゲノム編集によってモデルマウスの作出に成功し、機能解析を行っているところであり、おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
・遺伝性色素異常症患者の遺伝子解析を継続していく。 ・稀な症例に関しては、皮膚組織や毛髪を用いた詳細な解析(電顕、メラニン分析)、あるいは変異体の機能解析を行う。 ・ゲノム編集マウスを用いて、未だ機能が十分にわかっていない色素異常症原因遺伝子の遺伝子産物の機能を解明し、治療法の開発に繋げたい。
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