2018 Fiscal Year Research-status Report
TCHHL1を標的とした皮膚有棘細胞癌の新規治療法の開発
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18K16051
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
三澤 恵 富山大学, 附属病院, 講師 (80401834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TCHHL1 / 皮膚癌 / 細胞増殖能 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Trichohyalin-like protein 1(TCHHL1)の機能領域の同定。TCHHL1のN末端にHA tagを付加したcDNAを作製し塩基配列を確認の後、培養表皮角化細胞に導入しその発現を免疫染色、ウェスタン解析で確認した。TCHHL1は細胞質内に不均一に分布しており、現在細胞内小器官を認識する抗体との2重染色でその詳細を確認している。同時にTCHHL1のアミノ酸配列から推測される核局在シグナルなどを除去したコンストラクトを作製している。
2.皮膚癌に対する抑制効果の検討。これまでTCHHL1 siRNAが皮膚有棘細胞癌の培養細胞株であるHSC1細胞において増殖を抑制することを明らかにしている。このTCHHL1 siRNAが他の癌細胞株に対しても同様に効果があるか検討した。まず皮膚有棘細胞癌細胞株であるA431細胞を用いで検討した。A431細胞にTCHHL1 siRNAを導入しMTS assayなどで増殖能を見たところcontrolと比較した場合軽度の増殖抑制効果がみられたが、HSC1細胞と比べた場合明らかに増殖抑制効果が低かった。TCHHL1導入A431細胞のKi67陽性細胞とTUNEL陽性細胞数、さらにはMAPKなどシグナル伝達系に及ぼす影響の違いについて検討している。
3.皮膚疾患の病態形成におけるTCHHL1蛋白質の関与の検討。これまで尋常性乾癬、扁平苔癬、尋常性魚鱗癬などの疾患皮膚におけるTCHHL1の発現を免疫染色により検討した。いずれの皮膚でも表皮基底層を中心にTCHHL1の発現がみられ、細胞増殖の強い乾癬皮膚などでは有棘層でも発現が観察された。一方乾癬の病態形成におけるTCHHL1の関与を解明するためTNF-α、IL-17、IL-22を皮膚3次元培養系に加え乾癬皮膚モデルを作製、現在この乾癬皮膚モデルにおけるTCHHL1の発現を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定にほぼ沿って研究が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Trichohyalin-like protein 1(TCHHL1)の機能領域の同定:核局在シグナルや膜貫通ドメインを除去したコンストラクトを作製し、塩基配列を確認後、培養表皮角化細胞に導入しTCHHL1の細胞内局在が正常TCHHL1と比べ変化するかを検討し、各ドメインの機能を検証する。
2.TCHHL1 siRNAの癌細胞株に対する細胞死誘導効果の検証:ともに皮膚有棘細胞癌の培養細胞株であるA431細胞とHSC1細胞に対するTCHHL1 siRNAが及ぼす作用の差異の要因を特に細胞内シグナル伝達系に着目し解析する。さらにTCHHL1 siRNAの細胞増殖抑制効果が表皮角化細胞に特異的なものであるかを解明するため、他臓器癌由来の培養細胞株に対しても同様に増殖を抑制しうるか検討する。
3.皮膚疾患の病態形成におけるTCHHL1蛋白質の関与の検討:TNF-α、IL-17、IL-22の添加により作製した3次元乾癬皮膚モデルをTCHHL1の発現を抑制した表皮角化細胞で作製し乾癬皮膚形成におけるTCHHL1の関与を検討する。またTNF-α、IL-17、IL-22をそれぞれ単独で、あるいは2つの組み合わせで3次元培養皮膚モデルに添加しTCHHL1の発現と関連するサイトカインを確定する。
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Causes of Carryover |
平成30年3月発注分の納入が遅れたためであり、既に使用しており研究の進行に影響はない。
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Research Products
(4 results)