2018 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics of inflammation in each subgroup of atopic dermatitis by systemized immunohistochemistry of skin tissue
Project/Area Number |
18K16072
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関田 愛子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員 (10804289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 免疫細胞 / 病理学 / 炎症動態の多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)では、皮膚組織における免疫反応の過剰な活性化により皮膚炎をひきおこすが、免疫反応の経路はすべてのAD患者で同一ではなく、患者後ごとに多様性をもつことが示唆されている。近年、ADの個別化医療の確立を目指して、血中サイトカイン等のバイオマーカー探索とこれに基づく患者の層別化が試みられているものの、各ADサブグループの皮膚組織レベルでの炎症動態については十分に解明されていない。 そこで本研究では、血中サイトカインに基づき層別化された各ADサブグループの患者について、皮膚組織のシステマティックな病理学的解析、すなわち皮膚組織内の細胞間クロストークに着目した炎症反応経路の探索を通して、ADサブグループごとの皮膚組織における炎症動態の解明を目指した。 当該年度は、AD患者の病理学的な多様性を理解するため、AD患者約100例の病変部および非病変部に加え健常皮膚30例の皮膚組織に対して免疫組織化学染色を行い、各免疫細胞およびケラチノサイトの状態を解析した。各免疫細胞の炎症サイトにおける寄与を定量化するためのスコアリング法を確立し、10種類の免疫細胞についてそれぞれの局在や浸潤の度合いを患者ごとに定量的に示した。これにより、各ADサブグループにおける免疫細胞動態の傾向を見出した。さらに、これら定量化された病理学データと皮膚トランスクリプトームデータとの相関解析を行い、免疫細胞種と免疫シグナル経路との関連について理解を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アトピー患者の皮膚において複数の病理学的パターンの存在を見出した。とりわけ、好酸球や好塩基球などの顆粒球の分布に関しては明確なパターンが存在することから、これらの細胞を軸として、真皮樹状細胞やマクにファージといったその他の免疫細胞を含めた細胞間のクロストークに着目しつつ、各ADサブグループにおける炎症動態の解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、各ADサブグループにおけるより詳細な免疫分子機構を解明するため、病理学的データと皮膚トランスクリプトームデータとの相関解析を進めるとともに、遺伝子改変ADマウスモデルのデータを用いた解析を行う。Jak1変異をもつSpadeマウス(T. Yasuda et al., J Clin Invest, 2016)や、層板顆粒分泌の関連遺伝子を欠損したTmem79 KOマウス(T. Sasaki et al., J Allergy Clin Immunol, 2013)など遺伝的背景の異なる複数のAD様皮膚炎自然発症マウスモデルでは、異なる形質や病理像を示す。そこで、AD患者サブグループで見出された炎症反応経路のパターンが、特定のマウスモデルにおいて同様に皮膚炎発症や進行に関与していないかどうか、炎症反応経路の類似性に基づき、ヒトAD患者-マウスモデル間のリンクを探索する。さらに、マウスモデルにおける経時的データを参照することで、各ADサブグループにおける炎症の形成ステップの理解を目指す。
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