2018 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎発症因子解明のためのラマン分光計を用いた乳児期角層の解析
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18K16073
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
吉田 和恵 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 感覚器・形態外科部, 診療部長 (70383776)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新生児 / 乳児 / 角層 / 皮膚バリア / 共焦点ラマン分光計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新生児期から共焦点ラマン分光計による角層内因子の解析を行い、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患の発症との相関を解析することを目的としている。共焦点ラマン分光計は共焦点ラマン分光計を用いることで、非侵襲的にin vivoで角層水分量、天然保湿因子、尿素、ウロカニン酸、セラミド、コレステロールなどを角層内の濃度勾配も含めて解析することが可能であるが、1回の測定に数分間測定部位を静止する必要がある。そのため、新生児、乳児では、測定中に動いてしまうことが多く、成人と比較して安定した測定データを得ることが困難であった。今年度は、まず新生児、乳児における共焦点ラマン分光計による測定で安定した測定データを得るために、0ヶ月 10名、1ヶ月 7名、4-8ヶ月 10名の新生児、乳児 計27名を対象に、共焦点ラマン分光計による測定の測定条件を検討した。測定部位、測定時の体勢などを検討するとともに、ラマン分光計による測定間隔も検討した。ラマン分光計では、測定間隔を倍にすると、測定時間を半分にすることができる。測定部位については、前腕、下腿屈側の2箇所で検討を行った。新生児、乳児ともに、前腕より下腿屈側の方が安定したデータを得ることができた。また、角層の測定間隔については、4μm毎の測定でも2μm毎の測定とほぼ同精度の測定データが得られることが明らかとなった。また、新生児、1ヶ月、4-8ヶ月の3群に分けると、角層水分量は新生児で最も低いのに対し、NMF、セラミド、コレステロールに関しては、新生児、1ヶ月、4-8ヶ月と成長とともに減少していく傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、アレルギー疾患におけるハイリスク乳児の出生コホート研究の参加者を対象としていたが、測定条件の検討から開始することとし、健常児も対象とした測定を行っている。また、0ヶ月から12ヶ月の継時的にデータを取得するには、幅広い月齢での測定条件の検討を行う必要があり、今年度は個人毎に継時的に測定するのではなく、幅広い月齢の児で測定条件を検討することを優先させた。ただし、健常児においても、新生児期からの共焦点ラマン分光計による測定報告は少なく、貴重なデータであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、新たに新生児から被験者をリクルートし、昨年度検討して得られた測定条件にて、各個人において、0ヶ月から12ヶ月の継時的に共焦点ラマン分光計による測定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初、アレルギー疾患におけるハイリスク乳児の出生コホート研究の参加者を対象としていたが、測定条件の検討から開始することとし、健常児も対象とした測定を行っている。また、0ヶ月から12ヶ月の継時的にデータを取得するには、幅広い月齢での測定条件の検討を行う必要があり、今年度は個人毎に継時的に測定するのではなく、幅広い月齢の児で測定条件を検討することを優先させたため、まずは少人数で行ったため、謝金、人件費が少なくなっている。今後、0ヶ月から12ヶ月の継時的にデータを取得する研究を実施するには、研究補助員の人件費が必要であるため、人件費、新たなリクルートのための謝礼 などに使用予定である。
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