2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K16082
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 伸明 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70637686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血友病A / プロトロンビン / マウスモデル / 血栓性素因 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトにおいて強い血栓傾向を有するR596L変異を組み込んだプロトロンビンR593Lノックインマウス(ヒトのR596はマウスのR593に該当する)とFVIIIノックアウトマウス (血友病マウス)との交配を行い、FVIIIKO-R593LホモとFVIIIKO-R593Lヘテロマウスの作製に成功した。出産状況としては野生型マウス、あるいはFVIIIKOマウスと産出個体数などに大きな違いはなく、出血や血栓などにより死亡する個体はないと考えられた。 現在、血漿を用いた解析を実施しているが、おそらくはR593Lのプロトロンビン抗原量が野生型より少なく、かつ凝固活性が低いために、FVIIIKO-R593Lの血液はROTEM検査ではむしろ出血傾向を呈するデータが得られている。具体的にはROTEMにおいてはClotting time(CT)の延長を呈し、かつClotting Formation Time (CFT)も延長している。フィブリンクロットの強固さを示すMaximam Clot Firmness(MCF)もFVIIIKO-R593Lで有意差を持って低かった。これらはFVIIIKO-R593Lヘテロ、FVIIIKO-R593Lホモとなるごとに傾向が顕著になり、プロトロンビンR593Lによる変化と考えられた。しかし一方では、臨床的に出血傾向を評価するtail cutによる出血時間の測定において、FVIIIKO-R593LマウスはFVIIIKOマウスと同等の結果を示し、出血死する個体も見られなかったため、臨床的な出血傾向に関しては少なくとも悪化してはいないと考えられ、ROTEMの検査結果とは矛盾するものとなった。今後はこれらのデータの確認と原因理由について検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体個体の作製に成功し、ほぼ予定通りの実験メニューをこなすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
血液を用いた検討として、PT,APTTを基とした血液凝固波形解析を実施するほか、トロンビン生成試験による検討を行う。いずれもマウス検体で実施するにおいては検査方法、条件の最適化を必要とする。臨床的な評価として関節内出血モデルの実施を予定している。
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Causes of Carryover |
マウスの成長が見込みよりも少し遅く、検体採取の時期が遅くなった結果、実験で使用するFVIII活性測定キットの発注時期も遅くなり、今年度内の購入ができなかったため、次年度使用の必要が生じた。検体採取はすでに終えており、次年度早々に実験に取り掛かる予定でありFVIII活性測定キットの発注・購入も早急にする予定である。
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