2019 Fiscal Year Research-status Report
分化誘導療法におけるヒストンアセチル基転移酵素を中心とした分子基盤の解明
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18K16099
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
白根 脩一 順天堂大学, 医学部, 助教 (40760129)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レチノイン酸誘導体 / 急性前骨髄球性白血病 / ヒストンアセチル基転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの分化誘導療法は、従来の細胞増殖を標的とした抗がん剤治療に比べて、正常細胞への毒性が低いことが期待できることから、副作用の大幅な低減が期待される。しかし、臨床現場で実用化されているがんの分化誘導療法は、急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia: APL)に対するレチノイン酸誘導体(all trans retinoic acid: ATRA)に限られており、その作用機序の解明に基づき、多様ながんに対する分化誘導療法の開発が望まれている。本研究では、APL細胞に対するATRAの作用機序、特にヒストンアセチル基転移酵素による遺伝子発現制御と、それに続く好中球細胞への分化誘導に着目し、その分子基盤を明らかにすることを目的としている。2018年度までに、ATRA処理をしたAPL細胞から調製したRNAの次世代シークエンス解析により、ATRAによるAPL細胞の好中球への分化誘導の際に発現が誘導あるいは抑制される遺伝子として、それぞれ474個と205個の遺伝子を同定した。さらに、APL患者の予後や骨髄細胞の発現解析データベースを解析することで、予後との強い相関の見られる23遺伝子に絞り込みを行った。2019年度は、2018年度に引き続き、定量PCR法やイムノブロット法を用いて、実際にATRAによりこれらの遺伝子がAPL細胞において発現誘導あるいは発現抑制されることを明らかにした。また、これらの遺伝子を発現させるために必要なベクターの構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析対象とする遺伝子の数が予想よりも多いため、進捗に時間を必要としているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定した遺伝子が、ATRA依存性の好中球分化に関与することを示すとともに、遺伝子の発現制御へのヒストンアセチル基転移酵素の関与を明らかにする。
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Causes of Carryover |
同定した遺伝子の数が多く、研究進捗に遅れが出ているため、未使用な研究費が発生した。2020年度に繰り越した研究費は、同定した遺伝子の発現ベクターやRNA干渉ベクターの構築に用いる予定である。
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