2018 Fiscal Year Research-status Report
EVI1発現異常に起因する血液疾患発症メカニズムにおけるMPLの重要性の解明
Project/Area Number |
18K16105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 紗乙莉 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50812278)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | EVI1 / MPL / GATA2 / 血小板 / 巨核球 |
Outline of Annual Research Achievements |
3q21と3q26との間の逆位や転座を伴う急性骨髄性白血病の多くは血小板数が正常で、7-22%の症例では著明な血小板増多が認められることが知られている。3q21と3q26との間の逆位によるEVI1遺伝子高発現を再現した3q21q26マウスを用いて、血小板数増多のメカニズムの解析を行った。3q21と3q26との間の逆位や転座によって、GATA2遺伝子のハプロ不全も起こることがわかっているが、3q21q26マウスはこのGATA2ハプロ不全の部分については再現していない。GATA2ハプロ不全による影響についても検討するため3q21q26::Gata2+/-マウスの解析も併せて行った。 3q21q26::Gata2+/-マウスは3q21q26マウスと比較して、血小板数、巨核球数が多い白血病を発症する割合が高いことを確認した。ヒトの3q26の逆位や転座を伴う白血病では、逆位や転座の相手が3q21である場合に他の転座相手の場合と比較して血小板数が高いことが報告されている。このことから血小板数増多のメカニズムにおいて、EVI1とMPLのほかGATA2ハプロ不全の関与についても着目する必要性があることがわかった。 3q21q26マウスと3q21q26::Gata2+/-マウスともに血小板・巨核球数増多を伴わない白血病において白血病幹細胞がB220+Gr1-c-Kit+分画に濃縮されることが先行研究でわかっている。今回、血小板・巨核球数増多を伴う白血病においても同様に、この分画に白血病幹細胞が濃縮されていることを同定した。今後、この分画の細胞を用いて網羅的クロマチン免疫沈降解析(ChIP-sequencing解析)などを含む遺伝子発現解析を行うことにより、EVI1、MPL、GATA2の互いの制御機構、その血小板・巨核球産生制御における役割について解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EVI1高発現白血病におけるMPLシグナル活性化の寄与について検討するための、MPLノックアウトマウスの準備に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回同定した、血小板・巨核球数増多を伴う白血病の白血病幹細胞の性質をさらに詳細に解析する。この分画の細胞を用いて網羅的クロマチン免疫沈降解析(ChIP-sequencing解析)などを含む遺伝子発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
新規のモデルマウスの準備に予定より時間がかかっているため、飼育費などマウスに関連した使用額が予定より少なかったため。
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